東京大学と京都大学の生協で2023年1年間に最も売れた書籍は、「暇と退屈の倫理学」(國分功一郎著、新潮文庫)でした。お笑い芸人のオードリーの若林正恭さんも絶賛しており、前年に続いて2年連続の1位を獲得しました。2021年1月に刊行され、発行部数は30万部を突破しています。

本書は、気鋭の哲学者である著者が、現代社会において暇と退屈が抱える問題点を歴史的な視点と、スピノザ、ルソー、ニーチェ、ハイデッガーなど先哲の教えを横断しながら論じた本です。

初刊は2011年10月に朝日出版社から刊行。2015年3月に太田出版から増補新版が出ており、本書はこちらの文庫化となっています。第2回紀伊國屋じんぶん大賞を受賞するなど話題を集めました。哲学書とは思えないようなやさしい語り口と読みやすさで幅広い読者を獲得。刊行から10年以上経つ現在も、入試問題や高校の国語の教科書に採用されているロングセラーです。

本書の帯には若林さんが推薦コメントを寄せてますが、20代の読者は若林さんの「ナナメの夕暮れ」(文春文庫)、星野源さんの「いのちの車窓から」(角川文庫)などのエッセイと一緒に手に取る傾向があります。

こくぶ・こういちろう

1974年、千葉県生まれ。東大大学院総合文化研究科修士課程修了。東大大学院総合文化研究科教授。著書に「ドゥルーズの哲学原理」「近代政治哲学――自然・主権・行政」「はじめてのスピノザ 自由へのエチカ」など。

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