
集英社・籾山悠太編集長に聞く
今や、電子コミックサービスの利用者の約7割がアプリを利用しているといわれています(※)。人気を牽引しているのが、集英社が運営するマンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」です。2014年に運営を開始し、今年9月に10周年を迎えた同アプリや、マンガの未来について、創刊時から運営に携わる籾山悠太編集長に聞きました。
※2023年 オリコン顧客満足度®調査 電子コミックサービス利用実態データより
感動体験 世界で同時に
デジタルで人気拡大/多様な作品が次々と誕生
アプリの「少年ジャンプ+」は、70作以上のオリジナル連載作品や年間200本以上の読み切り作品を読むことができるサービスです。「SPY×FAMILY」や「怪獣8号」など、デジタルメディア発のヒット作品も多く誕生させ、デジタルマンガ誌のプラットホーム的な存在となっています。
14年の「少年ジャンプ+」の立ち上げにも携わった籾山編集長。創刊して10年で感じる大きな変化は、マンガ人気の拡大の速さと多様さだと言います。
「従来の雑誌など紙媒体とデジタル配信では、制作工程や流通など、読者が手に取るまでの流れが異なっています。紙媒体の場合は印刷所に原稿を渡し、流通経路を経て書店に届く日は地域によって異なります。一方、デジタル配信では、適切な配信設定をすることで、地域に関係なく同じタイミングで作品が配信されます。SNS上で感想を言い合ったり、感動を共有したりすることで作品が話題になるなど、感動体験の拡大スピードの速さがデジタルメディアならではと感じています」
海外向け配信も開始
さらに、同社ではデジタル配信の利点を生かし、「MANGA Plus by SHUEISHA」という海外向けマンガ配信サービスを19年1月にスタートしました。
籾山編集長は、「デジタル配信や世界的な映像サービスの普及によるアニメの影響もあり、海外でのマンガ人気がさらに高まっているのを感じます。同サービスではマンガ作品が多言語に翻訳されて日本と同時配信されているため、日本のマンガの最新話を世界各地(日中韓をのぞく)でオンタイムで楽しめるようになりました。マンガのムーブメントや感動体験を世界規模で同時期に共有してもらうことで、さらにマンガの新たな進化が生まれるかもしれません」とマンガ産業の新しい可能性に期待しています。
しかし、紙媒体もデジタル配信も、根本的には面白い作品を読者に届けることが最も重要だと、籾山編集長は言います。
「デジタル化により販路が増え、また、WEB媒体が増えたことで多様な作品が生まれるようになりました。マンガは一人の作家の個性的な世界観を味わえる優れた表現方法であり、コミュニケーションの機会にもなります。以前よりも膨大な量の作品に出会えることになったこの時代だからこそ、より多くの作品に出会って、マンガを通して豊かな感性を育んでほしいと思います」

「少年ジャンプ+」

スマホやタブレット端末で70作以上のオリジナル連載作品が読めるマンガ誌アプリ。アプリ内では、連載中のオリジナル作品に限り初回全話無料で読むことが可能。創刊10周年を記念して「少年ジャンプ+展」や漫画賞などの10大企画を展開中。
10周年記念サイト https://10th.shonenjumpplus.com/(外部サイト)
(朝日中高生新聞2024年11月3日号)
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