次の道 模索中に出会った麻雀

私がアイドルになんてなれるわけない――。そう思っていた、いち「アイドルオタク」が、思いがけず「乃木坂46」の1期生としてステージに立つことになった。グループはCDデビュー4年目から「NHK紅白歌合戦」に出場し、2年連続で日本レコード大賞も受賞した。

無我夢中のアイドル時代。個人仕事の多さでメンバー同士を比べやすい環境で、つらい思いをしたこともある。同期が、次にやりたいことを見つけて卒業していく背中を見送りながら、「アイドルになる夢をかなえた私には、次になりたいものがない」と悩む日々を過ごした。

活路になったのは、仕事で出会った「麻雀」だった。「卒業後は麻雀カフェをつくりたい」。そう思い定めると、すぐに行動を起こした。同時期に、麻雀のプロ試験を受けるという番組の企画が舞い込み、一発合格。さらに、麻雀のプロリーグ「Mリーグ」のチーム(現・BEAST X)から指名され、参戦することになった。

Mリーグデビューとなった昨シーズンの個人成績は、36人中35位。「本当にダメな結果。まだまだヘタすぎる」。プロとして何十年も活躍する大先輩に食らいついていくのは、簡単なことではない。シーズン後は、何度も何度も麻雀を打った。守備重視から、攻守のバランスを取るよう戦略も変えた。そして9月に始まった今シーズンでは、早くも2試合目でトップを飾った。

充実していたけれど、苦しくもあった乃木坂46時代。しかし「麻雀に出会ったのも、Mリーグに指名されたのも、麻雀カフェにファンの方が来てくれるのも、すべては乃木坂46に入り、9年間頑張ってきたから」。もう歌うことはないと思っていたのに、今年2月には麻雀アニメの主題歌で、CDも出した。

人生はどう転ぶかわからない。

(関田友衣)

Mリーグの所属チーム「BEAST X」のユニホームを身にまとう中田花奈さん

中田花奈(なかだ・かな)

 1994年生まれ。乃木坂46の元メンバー。現在は麻雀プロで「Mリーグ」にも参戦(Mリーグの試合はABEMAで放送)。

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(朝日中高生新聞2024年10月27日号)