漢字など勉強から遊びまで

11月18日、月曜日の午後5時すぎ、府中市の紅葉丘文化センターの遊戯室に、5人の小学生が次々と入ってきました。大学生と研究生4人、府中市多文化共生センター「DIVE」のスタッフが出迎えます。

中国出身の小学6年の男の子は、2年生の漢字の復習を始めました。担当した大学3年の坪内志栞さん(21)はスマートフォンで漢字を示しながら、読み方や意味を尋ねます。

「明」の読み方を「あし。あした、だから」と答えた男の子に対し、坪内さんは「確かに『明日』で使う字だけど、これ1文字だけだと何と読むかな?」などと問い返します。「細」の字を示すと「さい!」という答え。坪内さんは、「そうそう。あと、こまかいとか、ほそいとかもこの字だよ。ニンジンを切っていくと、細かくなるよね」と、紙にニンジンの絵を描いて説明しました。

小学1年生の女の子2人も、少し離れた机で漢字ドリルを広げ、鉛筆で書き込んでいました。「くりふ」紅葉丘支部代表で大学4年の北島成愛さん(23)がのぞきこみ、「よく書けているね」「書き順をよく見て」と声をかけました。

教わりながら漢字ドリルに書き込む小学1年生の児童ら=11月18日、東京都府中市 ©朝日新聞社

午後6時15分からは遊びの時間。6年生の男の子は卓球台でプレーし、1年生の女の子たちはカードゲーム。子どもと学生が交じって笑顔で遊び、歓声が上がりました。

終了時間の午後6時45分、子どもたちは片付けをして帰っていきました。最後までカードゲーム「UNO」で遊んでいた子が部屋を出ると、反省会の時間です。学生たちは受け持った子の様子や学習内容を伝え合い、活動記録を紙に書き込んでいました。

学習が終わったあと、カードゲームで遊ぶ児童と学生=11月18日、東京都府中市 ©朝日新聞社

リラックスできる時間を

「くりふ」はDIVEが同市内2カ所で週1回ずつ開いている「外国につながる子どもたちの居場所づくり・学習支援」に協力するほか、調布市でも週2回、活動しています。

代表で言語文化学部2年の秋山倖輪さん(19)は「子どもたちが何を学びたいか、というのを大事にしています。漢字をやりたい子もいれば、算数の宿題を手伝って、という子もいます。勉強ばかりだと飽きちゃいますから、遊びの時間も大切ですね」。

対象は小中学生で、来ている子は東南アジアや中国にルーツのある子が多いといいます。子どもたちの今後を考え、英語や中国語など彼らがなじんでいる言語はあえて使わず、分かりやすい日本語で教えるようにしているそうです。

府中市多文化共生センターDIVEでの学習会の様子=5月、東京都府中市 DIVE提供

やりがいを感じるのは、子どもたちの笑顔を見たとき。来始めたころは日本語を話せなかった子が、自分から話してくれるようになったり、漢字のテストで満点だったとうれしそうに報告してくれたり。

「学校になじむのは大変だと思いますが、くりふの時間はリラックスして楽しんでほしい。また来たい、と言われるとやっていて良かったなと思います」

東京外国語大学のキャンパス=11月、東京都府中市 ©朝日新聞社

(朝日中高生新聞2024年12月8日号)