――尾上右近を襲名したのは、中学生になる少し前ですね。歌舞伎の伴奏音楽「清元節」の稽古を続けながら、尾上菊五郎さんのもとでの俳優修業も本格化しました。
中高生時代は「ザ・思春期」。人間としての思春期と、役者の思春期が時間差で押し寄せてきました。今となってはよき思い出ですが、結構痛い成長痛でした。

父としては、僕が想像以上に役者に本気になったので、もっと清元のことも考えてほしいという焦りがあったようです。まわりからも「清元はどうするの?」って言われていた僕は、父に対して「役者をやってもいいって言ったんだから、守ってくれよ」と思っていました。
父も若い頃に役者をやっていましたが、清元の跡を継ぐことになって家元の道を歩み始めた。自分の夢の続きをやらせてあげたい気持ちとの間で、混沌としていたのだと思います。導くだけじゃなく、悩んでいる姿を見せるのも親の教育。親として、家元として、つらい立場を見せてくれただけで感謝ですね。
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