
数学指導者 髙橋一雄さんが教えます
「数学と聞くだけで嫌な気分になる」「そもそもどこがわからないのかわからない」。そんな「数学が苦痛」なあなたへのアドバイスを、数学指導者の髙橋一雄さんに聞きました。大切なのは「戻る勇気」と「『わかった』を積み重ねること」だといいます。もうすぐ始まる春休み、数学嫌いな自分と向き合ってみませんか。
戻る勇気と「わかった」の積み重ねを
「数学はとても抽象的概念が必要になる学問」と髙橋さんは話します。文字を数字として扱うことが求められるため、一見全く違うもの同士を同じものとして捉える考え方が重要なのだといいます。
まず、小学校の算数でリンゴ1個や犬1匹など全く違うものを「1」として表現し、この数字記号での四則計算を学びます。中学校では、一気に抽象度が上がりxやyの文字記号を数字感覚で扱います。
高校数学では、式から文字の関係を読み取り、さらにその関係をグラフで表現します。「みなさんが数学でつまずく原因は、この文字と数字の概念の融合と、2文字の関係をグラフ化する抽象的概念を理解することの困難さにあります」
「何がわからないかわからない」という人もいるでしょう。髙橋さんは「わかるところまで戻ればいい」と言います。実は、髙橋さんも20歳の時に算数まで「戻り」学習しました。「私は九九は問題なかったので、『足し算とかけ算の混合計算で、なぜかけ算が先なのか』から考えました。そして『分数の足し算と引き算でなぜ通分するのか』を考えたときに、『わり算でも通分すれば分子同士のわり算が答えになる』ことに気づくなど、基本を一つ一つ理解することで『わかった』を積み重ねました」
このように、算数や数学が苦手な人には、「戻る勇気」が大切です。「中学生や高校生が算数や中学数学まで戻るには抵抗があるかもしれませんが、そこから『わかった』を積み重ねる学習は楽しい。春休みに『わかる楽しさ』を体感してほしいです」
戻るべき点を知り徹底的に
まずは先生に、自分が何がわかっていないのかを聞いてみてください。先生はあなたの答案を見れば、戻るべきポイントを指摘してくれます。そして、本屋さんで自分の苦手な項目がわかりやすく解説されている参考書を見つけ、ぼろぼろになるまでやりましょう。それが難しければ、『かずお式中学数学ノート1 算数復習編』で算数の基本から確認するのがいいでしょう。丁寧な解説書として『語りかける中学数学〔3訂版〕』もおすすめです。定期試験や受験対策には、『かずお式中学数学ノート』2~14巻で学習してください。


新高1や高校生で基礎が不安な方には『九九からはじめる語りかける数学』がおすすめです。算数から高校数学Ⅰまでの本質が予習復習できます。

取り組む心構えは
❶自信を持って間違える
正しいと思って解いても間違っていることが多々あります。人は新しいことを学ぶ時、すでにある知識に新しい情報を組み込み、自分なりに納得できる形にして理解します。実は、ここで教える側と学ぶ側にボタンの掛け違いが起きるのです。
そこで、自信がなくても自分が考えた答案を書いてください。すると、解答を読めば自分の勘違いがはっきりわかります。常に自信を持って間違えてください。
❷自分の言葉で説明する
高校数学までの公式や定理は考えれば必ず理解できます。そこで暗記ではなく、常に自ら公式を導き、定理を証明し、自分の言葉で説明する意識を持って学習してみてください。
❸間違った答案は消さない
自分の間違った答案を見ると、第三者の視点で見ることができ、気をつけないといけない点がはっきりします。テスト前の復習や理解度の確認に役立ちますよ。
髙橋一雄(たかはし・かずお)
1961年生まれ、東京都出身。数学指導者。2011年頃から各地の少年院での授業にも携わる。20冊以上の著書がある
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(朝日中高生新聞2025年2月23日号)
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