東映のプロデューサーに聞く
子どもたちを中心に高い人気を誇る特撮ドラマ「スーパー戦隊シリーズ」は今年4月5日、放送開始から50周年を迎えました。愛され続ける秘密を、作品を作る東映のドラマ企画制作部ヘッドプロデューサー・白倉伸一郎さんに聞きました。(正木皓二郎)

原色の戦士が集団で戦う新ヒーロー像
カラフルなスーツに個性的な武器、巨大なロボットにド派手な爆破シーン……。「スーパー戦隊シリーズ」の1作目とのちに呼ばれる「秘密戦隊ゴレンジャー」は、1975年4月に放送が始まりました。番組が生まれたきっかけは放送局の再編だったといいます。

東映はもともと、仮面ライダーシリーズを制作し、71年からテレビで放送していました。しかし75年、テレビ業界の再編で、今のテレビ朝日系列での仮面ライダーシリーズがいったん終了。その後番組として作られたのがゴレンジャーでした。
原作は、仮面ライダーを生んだ漫画家の故・石ノ森章太郎さん。世界征服をたくらむ黒十字軍に対抗するために集められた5人が、人類を守るために戦う物語です。
ゴレンジャーは大ヒットし、約2年にわたって放送されました。白倉さんは「原色の戦士が集団で戦うという、あるようでなかったヒーロー像が受けた」と話します。
真面目さと不真面目さ
5人の戦士は、所属する組織が敵に壊滅させられ、残されたメンバーという設定です。一見ハードにも感じられますが、例えばキレンジャーはカレー好きといったコメディー要素があり、「野球仮面」や「機関車仮面」といった怪人の名前にも、不思議な世界観がありました。「真面目さと不真面目さが同居し、面白いこと、楽しいことをてんこ盛りにしていく作風でした」。白倉さんは、こうした点もヒットの要因とみています。
その後シリーズは続きますが、順風満帆ではなかったそうです。作品ごとに真面目とコメディーのバランスを変えたり、戦士を3人にしてみたり……。「正解」を求めた試行錯誤は続きました。
転機は92年、16作目として放送された「恐竜戦隊ジュウレンジャー」でした。恐竜の「守護獣」と一緒に戦う5人の戦士で、途中から6人目が加わる設定が人気を呼びました。

「モチーフが明確で、シリーズの大体のかたちができあがった」と白倉さん。ジュウレンジャーをもとに、93年からは「パワーレンジャー」として世界に進出。シリーズの知名度を一気に高めるきっかけにもなりました。

若手俳優の登竜門に
シリーズの特徴の一つが、起用される若手俳優です。数々の映画やドラマで活躍する横浜流星さんや松坂桃李さんも「戦隊メンバー」でした。白倉さんは「次世代の俳優さんの登竜門としての役割を果たしている」と考えます。
50年間の変化は、戦士の関係性にみられるといいます。「役割が決まった組織よりも『仲間』という感じで、メンバーの立ち位置がだんだん横並びになりました。女性戦士も男性のサポート役やマドンナという立場でしたが、フラットな関係性の作品が増えました」
長年愛されるシリーズの魅力について白倉さんは「色とりどりのヒーローが画面の中を暴れ回るきらびやかさにあると思います。そういうシンプルで原始的なところが、子どもたちの目を奪ってしまうのでは」と話します。
「スーパー戦隊シリーズ」に出演した主な俳優
(放送順、写真は出演当時のものではありません)

(朝日中高生新聞2025年4月6日号)
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