フルーティーな味と、もちもちとしたかみ心地が特徴のキャンディー「ハイチュウ」。今年で発売から50周年です。味や種類を増やしながら進化し続け、今では日本のみならず世界中で愛されています。その源流は意外な「あの商品」でした。(小勝千尋)

「ミルクキャラメル」の技術を応用
1975年、ハイチュウはかみ心地やリッチな味わいにこだわった「ハイグレードなチュウイングキャンディー」として誕生しました。最初に発売されたのはストロベリー味。今とは異なり3層構造でした。森永製菓でハイチュウのマーケティングを担当する堤崇将さんは、「もともと主力商品だった『ミルクキャラメル』の技術を生かし、生まれました」と話します。

86年には、今と同じ内側と外側の二重構造に。ただし当時は白い層が外側でした。同年、パッケージも箱入りから、スティック型に進化。食べ進めるとパッケージが小さくなる便利さなどから、10代を中心に大人気になり、売り上げは倍増したといいます。
2001年からは海外での製造を開始。08年に米国に進出するとやがて大ヒットし、今や日本国内の売り上げを上回るまでになりました。「森永製菓は創業者がキャラメルの技術を米国から持ち帰ったのが始まり。ハイチュウという形に変わって、日本から逆上陸を果たしたことになります」
22年には、25年ぶりに食感を大幅にリニューアル。「今の時代の人が『心地よい』と感じるかみ心地を研究し、それが最初から最後まで続くようにゼラチンなど原料の配合を考えた」といいます。
カタカナから英語に
大きな転換点となったのは、24年のパッケージの変更です。それまでのカタカナ表記を英語の「HI-CHEW」にしました。海外での売り上げを伸ばし、訪日観光客も増える中で、「どの国の人が見てもわかるようにして、グローバルブランドをめざす」という狙いがありました。
日本から世界に広がった50年間。旬のフルーツやトレンドの味など200種類以上の商品を開発し、大人向けの「プレミアム」や10代をターゲットにした「ミニ」なども展開して、あらゆる世代から愛されてきました。堤さんは「ハイチュウは日本では常にそばにいる友達のような存在だと思います。世界中でそう思ってもらえることをめざしたい」と語ります。
豆知識
・米国で人気の味「ブルーラズベリー」は、実在しないフルーツ。日本でも限定発売された
・50周年を記念した「総選挙」ではグレープ味が1位に
・話題になったのは、2009年に発売したドリアン味。独特な風味を再現した
・25年2月からの新パッケージには「ある仕掛け」が。ぜひ探してみて!
(朝日中高生新聞2025年4月6日号)

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