
10代の心を繊細に描く、小説家・汐見夏衛さんによるお悩み相談のコーナーです。友達、学校、家族、将来のこと…。誰にもいえない悩みや、ちいさなモヤモヤにお答えします! 苦手な友達と離れたいのに離れられないとうお悩みです。気まずくならないように距離を置く方法は?
相談
苦手な友達と距離をおきたいのにおけなくて、困っています。どうしたら、気まずくならずに距離を置くことが出来ますか?
(説さん 神奈川県 中学1年生 13歳)
汐見夏衛さんの回答
説さん、ご相談ありがとうございます。
「気まずくならずに距離を置く」にはどうすればいいか…とっても難しい問題ですね。
ですが、生きていく上で、自分の精神安定を図る上で、とても大切なことだと思います。
苦手だなと思うものや人と接するのって、メンタルを削られますもんね。
私も学生時代に似たような思いをしたことがありました。
私が勝手に苦手だと思っていたその子のことを、Bさんとします。
Bさんとはクラスは違ったのですが部活が同じで、そんなに部員が多くなかったので同学年だと必然的に一緒にいる時間が多くなりました。
初めは気楽に話せる友達だと思っていたのですが、だんだんと苦手意識を感じるようになりました。
理由は、Bさんは愚痴や陰口を言うことが多かったからです。
もちろん私だって色々なことに不満を持ったり、愚痴を言いたくなることはあります。でも、そういうマイナスの感情はあまり外に出さないようにしてきました。
別にいい人だからとかではありません。愚痴や不平不満や陰口を延々と聞かされて嫌な気分になった経験があったから、そしてそういう経験をすると相手のことを少し嫌になるから。
家族や友達を嫌な気分にさせるのも、家族や友達から嫌われるのもイヤだから、自分はやらないでおこう…と思っているだけです。
Bさんは基本的に話しやすく付き合いやすい人だと思っていたのですが、毎日のように誰かの嫌な話を聞かされて、それがだんだんつらくなってきて、距離を置きたいと思うようになっていました。
部活中はいいのですが、一緒に帰るとなるとまた嫌な話を聞かされるから避けたいなと、下校時間をずらしてみたり、こちらからはあまり話しかけないようにしたりと、なるべく距離をとろうとしたのですが、難しくてなかなか実現化できませんでした。
そういう経験があったので、説さんの「距離をおきたいのにおけなくて、困っています」というお気持ちはよーくわかります。
一度親しくなった人と距離を置くって、ものすごく難しいことです。
思いきって『もう話しかけないで』とか『友達やめよう』とか言える人はいいですが、そんな人はなかなかいないでしょうし、極悪人でもない相手にそんな冷たい言葉をぶつけるのはどうかと思います。
いちばんいいのは、なんとなく話す機会が減っていき、それぞれ他にもっと親しい友達ができて、自然と距離が開いて…というパターンかなと思いますが、これもなかなか狙ってできるものではないですよね。本当に難しいです。
さて少し話が戻りますが、私とBさんが結局どうなったかというと、『なあなあのまま部活引退の時期になり、そのまま卒業を迎えた』です。
つまり時間が解決…というか、解決もしていませんが、時間が忘れさせてくれたというか、時間に流されているうちに問題が終わったというか…そんな感じですね。
我ながらなんと曖昧な。なんの参考にもならない例でごめんなさい。
私にはこの難問を解くことはできませんでした。
ちなみに大人になった今でも、解ける気がしないのです。
苦手な相手をきっぱり縁切りできる強さがあればいいのですが、私にはありません。
苦手なら苦手だと、嫌なら嫌と言えばいい。相手だって、苦手だな嫌だなと思われながら付き合うのは嫌なはずです。無理に関係を続けるのは自分のためにも相手のためにもならない。言ったほうがいいに決まっている。
何もきっぱり言葉で告げるだけではなく、自分が距離を置きたいと思っていることがなんとなく伝わるように、やんわり言ってみたり、ほんのり拒絶の態度を示すというやり方もある。
そう頭ではわかっているのに、いざ問題に直面すると、距離を置くための言動は実践できない。
なぜできないのか? 強いことや冷たいことを言って相手を傷つけたくないから? いや、苦手だと思っているのだから、聖人君子でもない私は自分に嫌な思いをさせてくる相手が嫌な思いをすることは正直者かまわないと思っているので、これは違う。偽善的すぎました。
色々考えた末たどり着いたのですが、たぶん私は、相手が誰であれ、『自分の言葉や態度で誰かが傷つく顔を目の前で見るとつらいから』できなかったのかな、と思います。
自分のせいで傷つけた、悲しい思いをさせたと思うと、すごく申し訳ない気持ちになってしまう、つまり罪悪感を抱える度量がないのです。
自分の精神を安定させるためとはいえ、罪悪感を抱くのはつらい、だからどうしようかと悩んでしまうのだと思います。
それで、『苦手だな…距離おきたいな…』と思いながらも何もできず、だましだまし普通に接しつづけて、時間が経って問題は自然消滅した、ということです。
私には解けない問題でしたので、ただただ私の経験を書きつらねてしまいました。
本当に何も回答になっていなくてすみません…。
ちなみに説さんは、そのお友達のどういうところが苦手なのでしょうか。
その苦手なところを改善できるようにアドバイスする、なんてことはできそうですか?
(ちなみに私はできません…。こういうところ嫌だから直して、なんて友達になかなか言えないですよね)
もしも私のようにだましだまし過ごしたり、あるいは思いきって距離を置きたいと告げたりすることが難しいのなら、最終手段として『苦手なところを指摘して直してもらう』というのもアリかもしれません。
でも私の感覚では、これがいちばんハードルが高いですね。
- 距離を置きたいときっぱり話す
- 距離を置きたい意志が伝わるようにやんわりと言葉や態度で示す
- 上記のことができないなら、耐えながらだましだまし過ごす(学校関係なら、時間が経てばそのうち縁は切れるから)
- 上記のすべてできないなら、相手の苦手な部分を直せるように何かしら行動する
まとめるとこういう形でしょうか。
もしもこの中でひとつでも、説さんができそうだなと思えることがありますように。
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