
学校の授業や、塾や予備校の講義について理解をより深めるために欠かせないのがノートです。いろいろな工夫をもり込む一方、「どんなふうにまとめればいいのか、よくわからない」というみなさんも少なくないようです。
今回は、朝中高特派員をつとめたこともある大学生、Iさん(上智大学経済学部)にポイントを聞きました。
カラフルすぎて逆効果
黒色のほかに使うのは赤色と青色だけ。ぱっと開いたノートを見ると「シンプル」ということばが思い浮かびます。こんな具合にノートをまとめるようになったのは、Iさんが中学2年に進級したころまでさかのぼります。
それ以前は赤色、青色、ピンク色、水色、緑色など文字通り、多彩なペンを使い、授業のノートをとっていました。いちばん大事な部分は赤色、その次に重要な部分はピンク色といった感じ。
ところが時間をおいてノートを見返すと、あまりにもカラフルで「本当に大切な部分がどこなのか、判別しにくくなってしまった」。使う色をしぼるスタイルに切り替えました。
授業中、黒板に書かれた重要な部分は赤色、ポイントになりそうな部分は青色で統一。黒色を含む3色にしたことでノートが見やすくなったことはもちろん、色をかえることに気をとられず、授業により集中できるようになったといいます。
復習するときに教科書や資料集のどの部分に該当するのか、すぐに把握できるよう、授業中に「P(ページ)41」「図30」などと書き込むのがポイントの一つ。ほんの小さな工夫かもしれませんが、大きな効果に結びつきました。
Iさんは「たとえば定期テストに向けて重要なポイントを確認したいとき、ノートにはどのページを見ればいいかが書いてある。効率よく復習に取り組めた」とふり返ります。こうしたノートのまとめ方は高校を卒業するまでつづきました。
まとめるだけでは無意味
中学生のころ、Iさんは国語・数学・理科・社会・英語の5教科について「まとめノート」もつくっていました。授業で教わった内容だけでなく、その範囲の教科書や資料集などから関連する情報も加えて毎日、ていねいにまとめていました。
しかし、部活動に加えてピアノや器械体操などの習い事や塾の授業があり、ノートづくりに手がまわらなくなりました。
「せっかくまとめても頭に入らなければ意味がない。まとめるための時間を問題集の演習などにあてるほうが効果的では」。Iさんはこんなふうに考え、中3のころからはまとめノートをつくることに対して距離をおくようになりました。
授業でのノートとは別に、Iさんは雑記帳のような自習用ノートも用意。英単語や漢字、日本史に出てくる人物などを何度も書いて覚えたり、問題集を解いたりするときに使いました。
「英単語のスペルは暗記するためにひたすら書きまくった。目で見て、手で覚えて定着させた」。文字がきれいかどうかは二の次。人名や化学式、漢字などは覚えるまでなぐり書きをくり返しました。
このノートを見ると「自分がどのように努力してきたのかを実感することができた。自信ややる気にもつながった」とIさん。
教科(科目)によって力の入れ方に差があることにも気がつきました。「この教科は全然やっていないから集中しなくちゃと勉強のあり方を見直すきっかけにもなった」と、受けとめています。
(朝日中高生新聞2021年5月23日号)

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