
ニュースから考える力を養う
課題解決型授業に活用
デジタル版の新聞からニュース記事を選び、課題を見つけて解決策を考えよう――。関西学院千里国際高等部(大阪府箕面市)は、学校向けサービス「朝日小学生新聞 朝日中高生新聞 デジタル for School」を活用し、課題解決型の授業に取り組みました。
解決策をまとめプレゼン
「朝日小学生新聞 朝日中高生新聞 デジタル for School」は、教育現場でICT(情報通信技術)を活用しようという動きに対応し、学校向けに始めたサービスです。生徒のタブレット端末などから、紙面のデジタル版を読むことができます。
関西学院千里国際高等部でこのサービスを使ったのは、3年生の社会科の授業です。「防災」をテーマに、3人ずつ5グループに分かれ、自然災害や人的災害に関連したニュース記事を選択。それぞれ記事の中から課題を見つけて、解決策を資料にまとめ、プレゼンテーションをしました。
コロナなどテーマは五つ
各グループが選んだニュース記事は「新型コロナで受験生にさまざまな配慮」「紛争、災害…飢餓で苦しむ人に支援を」「トランプ氏のTwitterアカウント停止」「パソナ、東京から淡路島へ移住」「新型コロナ ワクチンを世界で分け合う」の五つです。
人材派遣会社のパソナが本社機能を東京都から兵庫県の淡路島に移すというニュースを選んだグループは、選択の理由として「新型コロナウイルスに対応した考え方が身近で新しいと思った」「社員1200人という大規模な移住を聞いたことがなかったから」などを挙げました。
大規模な移住に関わる問題に対して、「地元の人も社員として大幅に受け入れる」など、自分たちが考える解決策を発表しました。さらに、発表について、ほかの生徒たちとも議論しました。
ボレアッティ・藤原・サーラさんは「トランプ氏のTwitterアカウント停止」の記事を選択。「BlackLivesMatter(黒人の命は大切)」運動やフェイクニュースなど、米国内の問題とからめて発表しました。
イタリアで生活した経験から、日本と海外ではニュースの伝え方が違うと言います。「海外ではニュースの事実と、その背景についても詳しく伝えます。日本ももっとニュースの背景を詳しく伝えたらいいと思います」
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関西学院千里国際高等部は2012年度からiPadを全生徒に貸与するなど、ICTの環境が整備されています。18年度からは、生徒が個人の端末を持ち込み、学習に活用。自分に合った機器を使うことで、自宅でも学校での学習を続けることができます。
この授業を担当した米田謙三先生は、課題解決型の授業を始めて5年以上がたちます。学習指導要領の情報教育の指導案作成にも関わってきました。
「ニュースと自分がどうつながっているかを考えることが大切です。ニュースにひそむ問題や課題点を見つけて、自分なりの課題解決を考え、発信していくこと。その積み重ねがメディアリテラシーの育成につながります」と話しています。(吉野智也)

