留学は人生に大きく影響することもあります。留学の目的や得たものについて「先輩」に聞きました。

留学にはかっこいいというイメージがあり、自分の成長につなげたいと留学を志しました。英語力を伸ばしたいというより、海外でコミュニケーション能力を磨ければ日本でもそれが生きるのではないかと考えていました。
私は静岡県の水産高校出身です。父親が漁師で、当時から漁業は身近な存在。将来は水産関係の仕事に就きたいと考えていました。行き先をカナダにしたのは、自然が豊かで、水産業が盛んな国だったからです。
留学の目的は、自分の興味をもとに日本とカナダの水産業の比較にしました。語学学校に通いながら、現地にある水産関係の会社を探してインターンシップもしました。
魚の水揚げやせり、販売の現場を目の当たりにすると、日本で働いている人たちのほうが熱量が高いことに気づきました。日本の漁業のほうが活気にあふれていたのです。

留学をして一番良かったのは、同じ「トビタテ」で留学した全国の仲間に出会えたことです。それぞれの目的やテーマを持って一生懸命取り組む姿に、「夢中になれる何かを見つけたい」「自分が人生の主人公になる」という意識が芽生えました。
大学卒業後はトヨタ自動車に入社。自動車の販売だけでなく、住宅事業やまちづくりなど、さまざまな挑戦を続ける社風に引かれました。現在は、日本の水産業の成長を目指す新規事業にも関わっています。

周りの意見に流されず新しいことに挑戦できるようになったのは、未熟な高校時代に留学できたからです。学力以上に、精神的に成長できたと思います。(構成・正木皓二郎)
トビタテ!留学JAPANとは
文部科学省が展開する海外留学支援制度。2013年から、企業や団体などからの寄付で返済不要の奨学金を給付しています。連載ではこの制度を利用して海外へ挑戦した人たちの体験談を紹介します。
(朝日中高生新聞2024年9月22日号)

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