
週刊誌「AERA」(朝日新聞出版)の対談連載「じゅうにんといろ」で、ホストを務める松下洸平さん。ゲストと、それぞれの生き方や価値観などについて語り合うことは「異業種でも、仕事の取り組み方のヒントをもらうことが多い」と話します。話題作への出演が続く人気俳優の一人ですが、芸能界へ入ったのはシンガー・ソングライターとしてでした。
美術の道から音楽、芝居の世界へ
画家の母親のもとで幼いころから絵を描き始め、美術系の高校に通っていた松下さんが歌手を志したのは、3年生の夏ごろ。映画「天使にラブ・ソングを2」で高校生たちがゴスペルを歌う姿を見て、「自分も歌を歌いたいと思うようになりました」。
人前で歌ったことはありませんでしたが、「やりたいと思ったら、それしか見えなくなるタイプ」。美術の道を離れることに「不安や迷いはなかった」と言い切ります。
音楽の専門学校で技術をみがき、作詞や作曲を始めました。卒業後には大手レコード会社から声がかかり、得意な絵を描きながら歌うパフォーマンスを始めるように。2008年に「洸平」の名でデビューしましたが、ライブにお客さんがなかなか集まらず苦い思いをしました。「自分の実力のなさを初めて痛感し、心が折れかけました」

デビューの翌年、ミュージカルのオーディションで合格したのをきっかけに、芝居の世界へ。演技の楽しさにのめり込みました。「かっこよくいえば、新たな好きなものに出会えたともいえる。でも振り返ると、音楽がうまくいかなくて、そっち(芝居)に逃げたんでしょうね」
約10年間の下積み生活を経て、19年に放送されたNHKの朝ドラ「スカーレット」でヒロインの夫役に抜てきされると、一躍脚光を浴びました。俳優として活躍しながら、21年には松下洸平名義でシンガー・ソングライターとして再デビューを果たしました。
朝ドラが大きな転機になりましたが、「一つひとつの作品との出会いが、自分の転機になっている」と感じています。12日から放送される主演ドラマ「放課後カルテ」では、さわやかな笑顔を封印。ぶっきらぼうで人と関わることが苦手な小児科医の牧野峻役を演じます。「ふだんの僕のイメージからはあまり想像できない役。新しい挑戦をすることができます」

やりたいことを実現してこられたのは「人に恵まれただけ」としつつ、「前向きな気持ちでいた方が出会いは多いと思う。出会いの数が多ければ、チャンスもきっと多いはず」と笑顔を見せます。
「やりたいことを見つけたら、僕みたいに『わがまま』でいいと思う。やりたいことがなかったら、無理に探さなくていい。友達としゃべったり、好きなことをやっていたりするうちに、進みたいと思う道のヒントに出会えると思いますよ」

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