常に原点に立ち返り、夢追い求める

14歳でNYへ 地力つける

「Obsessed」は、昨年10月にサビだけのデモ音源をTikTokに投稿したのが始まりです。その後、ダンサー・タイガさんによる歌の振り付けがSNS上で話題になると、国内外の人気アーティストたちが踊った動画も拡散され、アジアを中心に人気を集めました。

歌詞は全て英語で、気になる人が頭から離れない恋心をつづっています。全編英語詞を作るのは初めてでしたが、「会話しているかのような英語がナチュラルでよかったのかな」と分析します。

6歳からダンスを習い始め、小学3年生からボーカルレッスンに通うように。世界的なアーティストになりたいと心に火がついたのは、2014年、13歳のとき。米国最大のスポーツイベント「スーパーボウル」のハーフタイムショーで、ブルーノ・マーズさんが心と体で音楽を楽しむ姿に「自分もこうなりたいと思いました」。

その後、14歳から約3年半にわたり、米ニューヨークへ。現地の学校へ通いながら、放課後はダンスや歌のレッスンに励む日々を送りました。

当初は不安もなく異国の地にとび込んでみたものの、「英語を思うように話せなければ、何を得られているのだろうかと、1年目は焦りを感じました」。人前で歌うことに慣れたいと、路上ライブにも挑戦。「誰にも立ち止まってもらえず、心が折れかけました」

一方、ニューヨークにあるエンターテインメントの殿堂「アポロシアター」で開かれ、プロへの登竜門とされる「アマチュアナイト」には3度、出場。「歌でこのステージに立てると自信になりましたし、自分が観客にどう見られているかも学ぶことができました」

留学中は「なぜダンスが好きなのか」「なぜ歌うのか」などと自分と向き合う時間も多かったそう。夢をかなえるため「原点に戻ること」を大切にしているといい、「そうすることであきらめる感覚にならない」と話します。

撮影・関口達朗

自分の言葉で ソロに信念

ダンス&ボーカルのジャンルはグループで活動することも多い中、ソロアーティストを選んだのは、自分の言葉で歌いたいという気持ちからです。11月には、交流のある同世代のアーティスト・NOAさんやNovel Coreさんと「SOLO(feat. NOA, Novel Core)」をリリース。〈創り上げる 新しい世界を〉〈貫いた理想を 曲げはしない〉などと、ソロとして活動する熱い思いを歌詞に込めました。

同月15、16日の2日間には、曲でコラボした2人をゲストに招いた自主企画ライブも開催。「今後も、ソロアーティストが集まるライブを企画したい」と意気込みます。

今年は、躍動感あふれるダンスナンバー「Superstar」などもリリースしたりと、「自信につながった」と笑顔を見せます。来年2月には次世代ポップ・アーティストMAXさんの米国3大都市ツアーに出演予定。3月からは国内4都市をまわるホールツアーの開催も決まりました。

「(活動の)規模をどんどん大きくしていけたら」。描いた夢へ、また一歩ずつ近づいていきます。

「SOLO(feat. NOA, Novel Core)」(配信中)

英語はどのように身につけた?

英語を話す友達をつくる

 思うように話せるまでには2年ほどかかりました。留学中は、単語を覚えるほかに、洋楽の歌詞で勉強したり、映画を英語で見たりしていました。一番役に立ったのは「英語を話す友達をつくる」こと。連絡を取り合ったり、会話したりすることで、生の英語を身につけることができました。

アユム・イマヅ

撮影・関口達朗

 2000年5月12日生まれ、大阪府出身。21年に「Juice」でメジャーデビュー。今年は「BANDAGE」「Where Do We Go!」などもリリース。「Obsessed」は「第66回輝く!日本レコード大賞」企画賞を受賞。

(朝日中高生新聞2024年12月1日号)