2015年に始まったニュース解説漫画「ニュース捜査班」は、1月12日号で連載500回(20面に掲載)を迎えました。4月で10周年です。第1回から漫画を担当してきたのがイラストレーターの宮原美香さんとふじわらのりこさんです。節目を迎えた思いや、作品作りのこだわりを聞きました。(正木皓二郎、小貫友里)

状況や関係性をわかりやすく
架空の築地学園が舞台のニュース捜査班は、中等部「チームJ編」を宮原さん、高等部「チームS編」をふじわらさんが週替わりで担当しています。コスプレが趣味の校長、不思議な生き物の「ポー」と「クー」、個性豊かな生徒や先生らが登場する人気の連載です。
連載が始まったのは2015年4月。ニュースを分かりやすく、楽しく学べるコーナーとして誕生しました。2人は500回目を迎えたことについて「ここまで続くとは思わなかった」と口をそろえます。
10年近く連載を続けてこられた要因について宮原さんは「ふじわらさんと一緒にやれたのが大きい。読んでくれた読者のみなさんがいてこそ」と話します。この思いは「全く同じ」とふじわらさん。読者の感想に触れて「読んでくれているんだ」と実感するといいます。
2人はさまざまな漫画やイラストの仕事をしていますが、ニュース漫画を描くうえで特に気をつけていることがあるといいます。
宮原さんは「一目で状況や関係性が分かるような見せ方」にこだわっています。国際情勢や科学の仕組みなど、時に難しいテーマを扱うことがあります。やさしく伝わるよう、なるべく文字ではなく絵で表現しているそうです。
ふじわらさんもニュースのキーワードを人に見立てたり、目が自然に追える流れをつくったりして分かりやすさを追求しています。一方で、「新聞らしい読み応えのある文章量」も意識しています。

オチに苦戦 互いが支えに
ニュース捜査班といえば、バリエーションが豊かなオチです。キャラクターの個性が発揮される場面で、ニュースの堅い印象を和らげる役割も果たしています。こうしたオチを生み出すのが、2人は「一番の苦しみ」と苦笑いしました。
「今もうまくいかないことがある」というふじわらさんは、出だしと最後で変化が見える結末を意識しているといいます。まずは中身を組み立てて、その後に出だしとオチをまとめて考えるそうです。
宮原さんは映画やドラマなども参考にしつつ、日常生活からもヒントを得ているそう。「街ですれちがう人や変わった看板など、身の回りをよく観察し、アイデアに採り入れている」と話します。
漫画を描いていて楽しさを感じる瞬間はいつでしょうか。宮原さんは「校長のコスプレを描いている時は楽しいですね。表情がうまく、おもしろく描けた時もうれしいです」。ふじわらさんは「絵を描くこと自体はもちろん、コマ割りやセリフの配置を考えるのも楽しい。この楽しい雰囲気が読み手に伝わったらいいなと思いながら描いています」。
色使いや絵と文字のバランス、オチのレパートリーなど、お互いの作品から学ぶこともあるという2人。同じコーナーを担当する仲間の存在が励みになり、作品を描き続けるモチベーションにもなっているといいます。

特別漫画

宮原美香(みやはら・みか)
文具メーカーに勤務したのち、漫画家・イラストレーターに。子ども向けの学習漫画シリーズや、企業の子ども向けパンフレットなどを手がける。テレビアニメ「PUI PUIモルカー」が大好き。
「ニュースを知ることは未来を良くするための大事な要素です。『そういえば、ニュース捜査班で取りあげていたな』と、少しでもニュースを知るきっかけになれたら。キャラクターたちを明るく元気に描いていきたい」
ふじわら・のりこ
漫画家・イラストレーター。子ども向けのイラストや解説漫画を中心に新聞や雑誌、書籍などのイラストを担当している。漫画はもちろん、地図を描くのも好き。さかなクンの大ファン。
「漫画を描いていく中で私自身もニュースを自分ごととして考えられるようになりました。まだまだ知らないことばかりです。読者のみなさんと同じ目線で、一緒に社会を知ることができたら」
みんなの感想
- ニュースで見ただけでは詳しく分からなかった内容が取り上げられていることも多く、漫画を楽しみながら理解を深められます。(中1・奈良県)
- 今まで知らなかった社会の問題やできごとが分かって、とてもいいコーナーです。(中1・神奈川県)
- 漫画なので、見る気満々で毎回見ています! 最後にボケが入っていておもしろいです!(中3・北海道)
- 今起きている政治の問題を知れてとてもいい! 表やイラストで分かりやすいです!(中1・三重県)
(朝日中高生新聞2025年1月12日号)