日本列島、続々と梅雨入り

気象庁は8日から10日にかけ、九州北部、四国、中国、近畿、東海、関東甲信、北陸地方が梅雨入りしたと発表した。おおむね平年と比べて3~4日遅れとなった。

梅雨は、日本の上空で暖かい空気を吹き出す太平洋高気圧と、冷たい空気を吹き出すオホーツク海高気圧が押し合ってできた「梅雨前線」がもたらす現象。暖かい空気が冷たい空気の上をはい上がり、広い範囲で雲が発生して雨が降り続く。

デザイン・佐竹政紀

例年、5月上旬に沖縄地方から梅雨入り。全国的に1カ月から1カ月半ほど続き、太平洋高気圧が勢いを増し、日本列島付近を覆うことで梅雨明けする。北海道には梅雨前線がほとんどかからず、梅雨がない。

梅雨の間、じめじめとした天気が続くが、生育に大量の水を必要とするコメをはじめ、夏に向けて農業用水をためる時期でもある。しかし近年、この時期に集中豪雨が起き、河川の氾濫や土砂災害などが増加。合わせて15個の線状降水帯が発生するなどして起きた2018年7月の西日本豪雨では、災害関連死を含め300人以上が犠牲となった。

鹿児島県で今年初の線状降水帯

今年に入って全国初となる線状降水帯が、9日に鹿児島県で発生。激しい雨により鹿児島、宮崎、大分県内に避難指示が発令された。気象庁は11日、今年の台風1号が南シナ海で発生したと発表。周辺の暖かく湿った空気が梅雨前線を刺激し、雨が強まる可能性があるという。

梅雨が明け、大勢の人が集まる沖縄県那覇市のビーチ=8日 ©朝日新聞社

今年の梅雨は例年と異なる点がいくつかある。全国で最初に梅雨入りしたのは、5月16日の九州南部。沖縄・奄美以外の地域が最初に梅雨入りしたのは62年ぶりだった。太平洋高気圧が強く張り出し、梅雨前線が北へ押し上げられたことが原因とみられる。

沖縄は早くも梅雨明け

一方で気象庁は8日、沖縄地方が全国で最初に梅雨明けしたと発表。確定すれば1951年の統計開始以降、2015年と並んで最も早い梅雨明けとなる。梅雨明け後は温度や湿度が高まるため、気象庁は熱中症への注意を呼びかけている。

5月21日には沖縄県八重山地方を対象に、環境省から今年初の「熱中症警戒アラート」も発表された。人の健康にかかわる重大な被害が生じるおそれがあるとして、エアコンで温度調節をしつつ、こまめな休憩や水分・塩分補給などの対策をとってほしいという。(小貫友里)

ウェザーニュースの発表から

線状降水帯

次々と発生する発達した積乱雲が線のように連なり、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過・停滞することでできる降水域。幅20~50㌔、長さ50~300㌔ほどの範囲に集中的な豪雨をもたらす。メカニズムなどに不明な点が多く、いつどこで発生し、どのくらいとどまるかを正確に予測するのが難しい。夜間に発生することが多いため、気象庁は発生が予測される時間帯の半日ほど前から気象情報などで呼びかけている。

(朝日中高生新聞2025年6月15日号)