【特集:オンリーワン学部】

発掘に立ち会い、デジタル技術で解析も
今年4月に開設されたばかりの恐竜学部。学部長の西弘嗣教授は「この名前の学部は、福井県だからこそ誕生できた」と話します。
国内で発見された新種の恐竜13種のうち6種が見つかり、県立の恐竜博物館もある福井県。「恐竜王国」と呼ばれるここには、恐竜研究の実績があるのです。
「たとえば、恐竜化石の発掘には莫大なお金がかかりますが、福井は県の事業として長年発掘活動を続け、多くの成果を上げている。毎年大規模な発掘活動に立ち会うことは、恐竜学部に来ないとできません」
また勝山市のキャンパスが恐竜博物館に近接していることから、研究成果を展示できるチャンスがあるのも、他の大学にはない特色です。
さらに恐竜学部では、CTスキャンで化石を解析して恐竜の生態を調べたり、VR(仮想現実)で恐竜の全身骨格を組み立てたりする中で、デジタル技術を身につけられます。
「恐竜が出てくる映画やアニメ、CMはたくさんある。デジタル技術を学んだ学生が、卒業後、恐竜に関するコンテンツのビジネスにたずさわってくれたらとも思っています」
研究者になる道もありますが、「恐竜にずっと関わって生きていってほしいですね。恐竜の知識を福井の観光事業に生かすとか。恐竜ユーチューバーになってもいいですね」と西さん。

一方で、恐竜学部は恐竜のことだけを学ぶのではありません。「恐竜を通じて環境、生命進化、災害など、自然科学を広く学ぶ学部」が正しいそう。事実、学部長の西さんは地質学や環境学が専門です。
「恐竜の骨を学ぶだけでは、恐竜のことはわかりません。現在の動物でも、なぜこのような形をしているのかと考えるとき、そうした進化を遂げるに至った環境について知る必要があるのです」
「私は恐竜オタク」という中高生にとっては、ぜひ入学したい学部のはず。しかし、今までの知識のみに頼るのはよくないそうです。
「恐竜は絶滅しているので、誰も本物を見ることができません。これまでの仮説がひっくり返ることがよくあるんです。恐竜の情報に対して、冷静に検証を重ね、自ら判断していくことが大事。そうすれば真の恐竜オタクになれますよ」
学生VOICE!
現場でのフィールドワークが楽しみ
フクイさん(仮名・1年)
Q 志望理由は?
A 幼い頃にゲームをきっかけに恐竜に興味を持ちました。その後、各地の博物館を訪れるうちに、将来は学芸員や研究者、プレパレーター(化石の修復、保存処理などをする技術者)など、恐竜に関係する職業に就きたいと思うように。
Q 楽しみにしている授業は?
A 勝山市の化石発掘現場などでのフィールドワーク。
Q 受験はどうだった?
A 合格発表のときは本当に驚きでいっぱい。前日に恐竜博物館を見学してモチベーションを上げてから面接に臨んだのがよかったのかも。
(朝日中高生新聞2025年6月15日号)
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