美術館・博物館に多くのファン、クラファンも盛況

栃木県足利市、経済波及効果は8億6千万円

ニトロプラスによると、刀剣を所蔵する各地の美術館や博物館との「コラボ展示」は、これまで170件以上。刀剣の保護や復元のクラウドファンディングにも支援が集まっています。

栃木県足利市の足利市民文化財団は24年3月、市にゆかりの深い刀剣「山姥切国広(やまんばぎりくにひろ)」を3億円で購入しました。そのうち約1億円は、ふるさと納税やクラウドファンディングで調達。今年2~3月、足利市立美術館で開いた特別展には、4万4030人が訪れました。同館の来場者数としては、過去最多です。市の試算によると、地元への経済波及効果は約8億6千万円にのぼりました。

足利市立美術館の館長、松場政芳さんは「まちをあげたおもてなしの成果」と話します。地元の商店街は限定品を販売し、トイレの提供や荷物の一時預かりなどで協力。地元のお年寄りが道案内のボランティアをすることもあったといいます。

「山姥切国広展―名匠の軌跡、名刀の誕生―」の内覧会で山姥切国広を見る刀剣ファン。現在、愛知・徳川美術館の「時をかける名刀」展で、山姥切国広の手本になったという本作長義(ほんさくながよし)とともに展示中です(展覧会は9月7日まで、山姥切国広の展示は7月27日まで)=2月7日、栃木県足利市立美術館 朝日新聞社

山姥切国広は現在、愛知・徳川美術館の「時をかける名刀」展で展示中です。「刀剣というと武器でこわいというイメージを持つ人もいるかと思いますが、刀の鞘(さや)にほどこされた漆芸(しつげい)をはじめ、金工、組みひもなど、日本の伝統工芸を集めたもの」と松場さん。「ゲームを入り口に、興味を広げてもらえたらうれしい」と話します。

伝統工芸ってなに? 人間国宝・今泉今右衛門さんに聞く「日本の工芸はSDGs」

朝小プラスまなび

熊本地震の復興支援

熊本県阿蘇市の阿蘇神社に伝わる「蛍丸(ほたるまる)」は、太平洋戦争後の混乱で行方不明に。刃物の産地・岐阜県関市の刀工(とうこう、日本刀をつくる職人)が立ち上げた復元プロジェクトは、クラウドファンディングで4512万円が集まり、17年に神社に奉納されました。16年4月の熊本地震で神社が被災した際にも、刀剣乱舞のチャリティーアイテムの販売などを通して義援金が寄せられました。