
石破政権9か月 評価問われる
7月20日投開票の参議院議員選挙が3日に公示された。定数248のうち、改選される半数124議席と、東京選挙区の欠員1を合わせた125議席を、522人の候補者が争う。石破茂首相(自民党総裁)の政権が発足して9か月。政権を担う与党の自民党と公明党にとっては有権者の審判を受ける機会となり、野党は与党が過半数割れした去年の衆議院議員選挙のような展開を狙う。
各政党が、掲げる理念や政策などをまとめた「選挙公約」でも主張がぶつかり合っていて、日本の将来を占う重要な戦いとなりそうだ。

物価高/教育/外交・安全保障/国内の外国人政策
○物価高対策 投票の行方に最も影響しそうなのがこのテーマ。自民、公明両党は国民1人あたり一律2万円、子どもや住民税非課税世帯の大人には追加で2万円を給付するとした。必要な予算は3兆円台半ばになる見込みで、国の借金となる国債を発行せず、一般会計で初の75兆円台に達した2024年度の税収の上ぶれ分(想定より約1.8兆円増)などをあてる考えだ。
野党は消費減税を掲げる党が目立つ。立憲民主党、日本維新の会、社民党などは食料品の税率を0%に、共産党、れいわ新選組、参政党は将来的な消費税廃止を打ち出した。与党は消費税を社会保障の安定財源と位置づけており、減税導入には法改正などの時間もかかると消極的だ。
○教育 ほとんどの党が家計の負担を減らす「教育の無償化」を打ち出すが、与党は「高校授業料の実質無償化」、日本維新の会は「幼稚園や保育園をはじめ、全ての教育を無償化」など目指す内容は異なる。給食費、修学旅行費、教材費などの負担も軽減すべきとする政党もある。
○外交・安全保障 米国のトランプ政権への対応が焦点となりそうだ。輸出品に課せられる「相互関税」の交渉が行き詰まる現状に、立憲民主党の野田佳彦代表は2日の党首討論会で「(論点を整理できていないから)ゴールポストが動いていく」と批判。また、トランプ政権が日本側に防衛費を引き上げるよう打診したとされる問題では、石破首相は「数字は日本が決めるべきもの」、共産党の田村智子委員長は「防衛費と暮らしの予算は両立しえない」と話した。
○国内の外国人政策 自民党は公約に「違法外国人ゼロ」を盛り込んだ。「日本人ファースト」を掲げる参政党は外国人による土地・不動産の購入を厳格に制限し、外国人参政権も認めない立場。日本維新の会、国民民主党、日本保守党などはスパイ活動への対策強化を訴える。
(篠崎嘉代子)
(朝日中高生新聞2025年7月6日号)

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