会見で被害を説明する、ぱっぷす理事長の金尻カズナさん(左)と会見を共催した認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウの伊藤和子弁護士=7月17日、東京都千代田区

性暴力被害者をサポートする団体が呼びかけ

オンライン上で性的な画像を送らせ、「拡散する」と脅し、お金や更なる画像を要求する「セクストーション」の被害が、中高生を含む若い世代で急増している。性暴力被害者をサポートするNPO法人「ぱっぷす」が7月、東京都内で会見を開き、警戒を呼びかけた。

セクストーションは、「セックス(性的)」と「エクストーション(脅迫・ゆすり)」を合わせた造語。ぱっぷす理事長の金尻カズナさんは会見で、典型的な手口を説明した。

被害にあったのは若い男性。英語学習用の交流アプリで海外の女性と知り合った。ビデオ通話でやりとりしていると「体を見せて」といわれ、相手も衣服を脱ぐので自分も脱いだ。すると録画していると伝えられ、「インスタグラムのフォロワーにばらまく」などと脅された。

画像を拡散しないことと引き換えに、男性にはお金やギフトカード、女性には性的画像の送信を求めるケースが多いという。要求に応えても、繰り返し追加の送信を求めてくる。

会見資料から

ぱっぷすによると新規の相談は、2025年度は7月29日時点で1196件。22年度は131件、23年度は528件、24年度は1864件と年々急増している。相談者のうち男性が68%、年齢は18歳未満が特に増えていて、最年少は小学5年生。

米国ではセクストーションにあい命を絶つ10代が相次ぎ、社会問題になっている。相談者への聞き取りや米連邦捜査局(FBI)の発表から、金銭を求める「金銭セクストーション」は西アフリカや東南アジアなど海外の犯罪集団が関わっているとみられる。

インスタグラムなどを運営するMeta社は7月28日から、ぱっぷすと協力してセクストーションについて啓発するキャンペーンを日本独自の取り組みとして始めた。

イラスト・フジタヒロミ

不安でもまずは「即ブロック」

金尻さんは「自分は被害にあわない、と思っている人が被害にあっている」と警告する。ではもし被害にあったら、どうしたらいいのか。

まず不安でも相手を「即ブロック」。追加の情報を与えず、要求にも応えないことが大切だ。一人で対処しようとするうちに、被害が深刻になるケースも多いという。「一人で抱え込まないことが大切。ぱっぷすなど相談機関に話して」と金尻さんは呼びかける。(小貫友里)

※ぱっぷすへの相談は電話やメールから。くわしくはサイト(https://www.paps.jp/)で。

(朝日中高生新聞2025年8月3日号)