さかなクンといっしょに海や魚のことを学び、それぞれが関心を持つテーマの探究を深める「さかなクン探究隊」(主催・青い地球を育む会)。9月6日、東京都江東区の豊洲市場を訪れたメンバーは、あまり市場に出ない魚「低利用魚」について学び、おいしく食べる料理にも挑戦しました。(今井尚)

おいしいのに、あまり利用されていない魚 理由はさまざま
「あ! ウツボだ」。豊洲市場にある「夢市楽座」の店先で、メンバーは低利用魚と呼ばれる魚をさわらせてもらいました。
カガミダイ、ギンガメアジ、シイラ……。低利用魚は、おいしいのにあまり利用されていない魚。理由はさまざまです。とれる量が少なくて出回りにくい魚、いたみやすく鮮魚として運びにくい魚、毒のトゲなどがあって注意が必要な魚などがふくまれます。

よく知られた魚でも、サイズが小さすぎる、傷ついているなどの理由で、出回りにくかったり値段が下がったりすることがあります。肥料などに使われたりもしますが、捨てられるものもあります。ほとんど利用されない魚は「未利用魚」とも呼ばれます。
こうした魚を私たちがもっと食べれば、資源を守り、漁師さんなど魚を届けてくれる人たちの暮らしを守ることにもつながります。
そこで探究隊は、ニギス、アカエイという低利用魚と、ヒラメを料理して食べてみることにしました。ヒラメは有名ですが、網でとるとき、ヨコエビに内臓などを食べられ、売り物にならなくなる課題があります。どんな味がしたのでしょうか。

夢市楽座

東日本大震災で被災した福島県・宮城県・岩手県と、能登半島地震で被災した石川県を応援するお店です。豊洲市場の水産仲卸業者でつくる東京魚市場卸協同組合が運営。物販エリアの「魚がし横丁」にあり、第1・3土曜日を中心に営業しています。くわしくは「夢市楽座」で検索を。
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低利用魚 こんなに おいしいんだ
低利用魚の料理を教えてくれたのは、料理の専門家「ABCスタイル」の先生たちです。
ニギス、アカエイ…
ニギスはキスの仲間ではなく、進化の歴史で古いニギス目の魚。フードプロセッサーですり身にします。探究隊のメンバーは丸めて団子にして、だし汁の中へ。つみれ汁になりました。


ヒラメは身を食べやすいサイズに切り、粉をふって焼き、和風ムニエルに。さらに、先生がアカエイをからあげにしてくれました。



分厚いヒラメの身を切った長江旺木さん(6年)は「皮はかためだけど、身はやわらかく、意外と力を入れずに切れました」。山田倫太朗さん(4年)は、ニギスのつみれを食べて「水ギョーザのあんみたい。初めて食べる感じ。きれいに丸められてよかったです」。アカエイのからあげを食べた林実杏さん(4年)は「フワフワしていて、骨はコリコリした感じ。エイってこんなにおいしいんだ」とおどろきました。

限られた出あいだからこそ、感謝
日本で見られる魚は4500種ほどとされますが、日本で主に食べられるのは20から30種といわれます。マグロやサーモンといった人気の魚は、世界中から輸入することで、日本ではいつでもどこでも食べられます。
でも、低利用魚はいつでも手に入るわけではありません。数が少ない魚種だったり、季節や地域が限られたりすることもあるからです。
さかなクンは、いつでも食べられることが当たり前になると、感謝の気持ちを忘れてしまうのではないかと心配します。たまにしか出あえないからこそ、感謝していただけると考えています。
日本にはいろいろな魚がいます。姿も形も味もそれぞれです。小骨が多いなど食べるのに工夫が必要な魚もいますが、それでもさかなクンは、魚はみな平等で、どんな特徴も魅力的で輝いていておいしい、とうったえます。

低利用魚 どうしたらいい?

全国漁業協同組合連合会の馬田英史さん
みんなが食べれば「低利用」ではなくなります。都道府県ごとに季節の魚をプライドフィッシュとして紹介しています。全部で298種類。見てみてね

水産庁の吉川千景さん
みんなが同じ魚ばかり食べていると減ってしまいます。もっといろいろな魚を食べてもらおうと、毎月3~7日を「さかなの日」としています
(朝日小学生新聞2025年9月13日付)

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