静岡 バンダイスピリッツ工場内にミュージアムが開館
「プラモデルのまち」として知られる静岡市に、自分だけのプラモデルをデザインできるミュージアム「BHC(バンダイ ホビー センター)PDII MUSEUM」が今月、オープンしました。プラモデルを手がけるバンダイスピリッツ(東京都港区)の新工場内にあります。一部を紹介します。(浴野朝香)

製造の流れや歴史・技術を知る展示も
オープン前の8月下旬、新工場とミュージアムが報道関係者に公開されました。ミュージアムは新工場の2、3階にあります。
ミュージアムの入り口近くには、プラモデルを組み立てる前のパーツがつながったモニュメントが展示されています。そのサイズは縦3.6メートル、横14.2メートル。世界的な人気を誇るロボットアニメ『機動戦士ガンダム』の頭部の実物大サイズです。
壁にプラモデルの金型やパーツのわくがデザインされたエントランスを抜けると、たくさんのキャラクターのデザイン画が展示されています。
次のエリアではプラモデルが企画、設計され、出荷されるまでの流れが七つの工程で紹介されています。
プラモデルの歴史や技術の進化を学べるコーナーもあります。道具を使わなくてもプラモデルが作れるように、パーツとその周りのわくが指で簡単に折れるようにした「タッチゲート」と呼ばれる技術などが紹介されています。
商品の一部にリサイクル素材を使ったプラモデルも紹介されています。こうしたプラモデルは「エコプラ」と呼ばれ、バンダイスピリッツではすべてのプラモデルをエコプラに変えていく考えです。



自分だけのオリジナルデザインに
パーツ選び、色づけ…画面上で体験
ラボラトリーエリアでは、プラモデルのデザイン、色づけ、パッケージのデザインなど五つの工程をタッチパネルの画面上で体験できます。
デザインのコーナーでは、恐竜のティラノサウルスやガンダムなど三つのモデルから一つを選びます。頭の大きさや腕の太さなどパーツごとのサイズを決め、最後は全体のバランスを見ながら細かく調整していきます。アドバイスをもとに理想的なモデルを作ることもできますが、自分だけの個性的なモデルに挑戦するのも楽しそうです。
次に色を決めます。自分でデザインしたモデルがパネルに映し出され、カラーパレットを操作しながらパーツごとの色を選びます。色合いや濃淡などは細かく変えることができます。
金型にプラスチックを流しこむ工程では、パーツの位置や向きを変えながら、プラスチックを金型全体にスムーズに行き渡らせる方法をさぐります。実際の工程では射出成形機と呼ばれる機械で溶かしたプラスチックを金型に入れて冷やし固め、部品を作ります。
最後はパッケージをデザインします。「ダイナミック」「スタイリッシュ」など三つのスタイルから好みのイメージを選びます。背景やポーズ、ロゴの位置などを決めたら完成です。パッケージデザインのデータは印刷して持ち帰ることができます。
ミュージアムからは工場内でプラモデルが生産されるようすを間近で見ることもできます。この日、工場やミュージアムについて説明したバンダイスピリッツの社長、榊原博さんは「ものづくりの楽しさを体験することで、将来ものづくりの仕事に携わってくれる人が増えるとうれしい」と話していました。

【BHC PDII MUSEUM】

場所 静岡市葵区長沼500-15
開館時間 午前9時~午後5時半(日曜日、月曜日、祝日などは休館)
料金 13歳以上が2860円
6歳~12歳が1100円
5歳以下は無料
完全予約制で、公式サイト(https://bhcpdii.bandai-hobby.net/)から申しこめます。
(朝日小学生新聞2025年9月18日付)