
読者から寄せられた疑問を編集部が調査するコーナーです。今回は神奈川県の小学3年生、Yさんから寄せられた「正座で足がしびれるのはなぜ?」という質問に答えます。
Yさん(神奈川県・3年)の疑問
正座で将棋を指すと足がしびれてしまい、立ち上がると痛いです。なぜしびれるのかと、しびれないためのコツを知りたいです。正座はかっこいいから、長くできるようになりたいです。
整形外科とくはらクリニック院長 徳原善雄さんの回答
正座をするとおもにふくらはぎが圧迫されます。血管がしめつけられ、末梢神経が酸素不足になります。神経が「何かおかしい」と脳に異常電流を送り、足はしびれるのです。
神経が酸欠→脳に電流を送るから
この疑問には、整形外科とくはらクリニック(大阪市)の院長、徳原善雄さんが答えてくれました。
正座をすると足がしびれるのは、「自分の上半身の体重で、足を圧迫して血管がしめつけられ、血の流れがとどこおるから」と徳原さんは説明します。ふくらはぎの血流が悪くなり、体を動かしたり痛みを感じたりする働きがある末梢神経が、血管から酸素をもらえなくなります。すると、脳に「何かおかしい」と、異常を知らせる電流を送ります。それがしびれの正体です。しびれが強くなると、痛みに変わります。
正座をしばらくして足をくずすと、感覚がなくなることもあります。「あれは、感覚をつかさどる神経が働かなくなるからです。また、しびれた後に足を動かせなくなるのは、運動をつかさどる神経がまひしているためです」
疑問を寄せたYさんは10分も正座をすると足がしびれるそうです。どうしたら長い時間、正座を続けられるようになるのでしょうか。
「重心は前」が◎
徳原さんが三つのコツを教えてくれました。「1か所をぎゅっと圧迫することでしびれは起こります。圧迫される部分を分散させることがポイントです。左右の足の親指を重ね、かかとを開いて座りましょう」。負担が集中しないよう、左右の親指を数分おきに入れかえることが大切です。
また、重心を後ろにすると足はますますしめつけられます。重心を前にすると足への負担がやわらぎ、姿勢もよくなります。「こうすると見た目も美しくなります」
さらに、ジーンズなどかたい素材のズボンは足のしめつけを強めるので、さけましょう。やわらかいズボンのほうが正座には向いています。

慣れれば長時間も平気になるかも
落語家や囲碁・将棋の棋士など、長時間正座をする人たちもいます。慣れることで平気になるのでしょうか。
「それはありうる」と徳原さん。「寒い地域に住む人が寒さに慣れるのと同じで、血管が圧迫されることに慣れると足もしびれなくなるのでしょう。血管がいつもしめつけられていると、人間の体は新しく血管をつくるともいわれます。正座をなりわいとする人たちにはこうした『う回路』があるのかもしれません。ただ、これらは科学的には立証されていません」
正座で集中力アップ
正座は見た目の美しさのほかにもよさがあります。背中を丸めるあぐらや、腰がねじれる横すわりと比べ、腰や内蔵に負担をかけにくいといいます。「また、足へ流れる血液がとどこおるため、血液は脳へ送られます。頭がさえて集中力が上がったり眠気が覚めたりします」。ただ、血流が悪くなるとしびれのほか、血栓ができることにもつながるので、やりすぎには注意しましょう。(中塚慧)
(朝日小学生新聞2023年3月7日付)

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