
世界各地のディズニーランドにある人気アトラクション「スプラッシュ・マウンテン」。実はアメリカでは、スプラッシュ・マウンテンの存在が人種差別を後押ししていると問題視されました。今年1月にはフロリダ州のウォルト・ディズニー・ワールドのスプラッシュ・マウンテンが閉鎖。カリフォルニア州のディズニーランドでも閉鎖する見通しです。なぜ問題になったのか、アメリカ映画にくわしい富山大学教授の赤尾千波さんに聞きました。(小川しおり)
アメリカでは今年1月に閉鎖
スプラッシュ・マウンテンは、アメリカで1946年に公開されたディズニー映画「南部の唄」をもとに作られたアトラクションです。「南部の唄」の舞台は、黒人が白人のために働くことを強いられた奴隷制度がなくなった直後のアメリカ南部と考えられますが、その内容や人びとのえがき方が問題視され、86年から販売や公開が中止されています。
2020年に、アメリカでジョージ・フロイドさんが警察官に地面に強くおさえつけられて亡くなる事件がありました。これをきっかけに、人種や宗教などによる差別に反対する「Black Lives Matter」(BLM)運動が再拡大。アニメや映画にも人種差別的な表現は改めるよう声を上げる人が増えました。
スプラッシュ・マウンテンについても、「映画が中止されているのにアトラクションとして残っているのはおかしい」という声が大きくなりました。

販売や公開が中止されている映画がモチーフ
赤尾さんによるとアメリカ南部は、奴隷制度がなくなったあとも人種差別が強く残っていた地域。それなのに「『南部の唄』では、黒人のおじいさんがのんびり暮らしていて、白人の身なりの良い男の子やその家族と仲良く対等に接している様子がえがかれています」
奴隷を強いられていた黒人に自由はありませんでした。「南部では、奴隷制度がなくなったあとも黒人の生活は貧しく、生きるのに精いっぱいだったはず。労働力を失った白人もまた、生活は苦しかったと考えられます」
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