
読者から寄せられた疑問を編集部が調査するコーナーです。今回は小学2年生(埼玉県)から寄せられた「窓はどうしてガラス?」という質問に答えます。
小学2年生(埼玉県)の疑問
地震のニュースで、窓が割れてけがをしている人を見ました。窓はなぜガラスなのですか? プラスチックの窓はありますか?
YKK AP 住宅商品企画部 窓商品企画室 平井伸幸さんの回答
建物の窓にはすべて、ガラスが使われています。プラスチックに比べると割れやすいですが、熱や傷に強いという長所があります。割れても危険が少なくなるよう、さまざまな工夫もされています。
熱や傷に強いという長所があるから
窓メーカーのYKK APで商品企画を担当している、平井伸幸さんに聞きました。「建物の外に面している窓は、すべてガラスを使用しています。窓は日光や雨風、気温の変化に長い間さらされるので、熱や傷に強いガラスが向いているからです」
ガラスとよく似た透明な板には、プラスチック(樹脂)の一種の「アクリル樹脂板」などがあります。割れにくく、室内用の窓では一部に使われています。しかし、とてもかたいガラスに比べると傷つきやすく、熱でたわんだり、紫外線によって変色したりしやすい性質もあります。
ガラスはどれくらい熱に強いのでしょうか。かたい材料がやわらかくなり、変形を始める温度を比べると、ガラスは約730度で、アクリル樹脂は約80~100度と言われています。ガラスは火事などでとけたり、燃えたりしにくい材質なのです。

割れにくくする工夫も
熱や傷に強いガラスですが、プラスチックに比べると「割れやすい」という欠点があります。「防犯や防災のために、割れにくく、また割れてしまったときの危険をできるだけ少なくする窓ガラスも作られています」と平井さん。例えば、ガラスを厚くすることで、より強い力にたえることができます。
みなさんは高いところに登ったとき、いつもより風が強く感じた経験がありませんか。
平井さんは「同じマンションの同じ間取りの部屋でも、高い階の窓は低い階に比べて強い風圧を受けます。部屋のある場所が高くなるほど、窓ガラスは厚く作られています」と説明します。
窓ガラスで温暖化対策に
危険を少なくするため、特別な加工をしたガラスもあります。破片がするどい形になりにくい「強化ガラス」、割れたときに破片が落ちにくい「あみ入りガラス」、樹脂のシートを2枚のガラスではさみ、割って侵入しようとしても貫通しづらい「合わせガラス」などがあります。

部屋の温度を保ち、過ごしやすくすることも窓の重要な役割です。夏は外の暑い空気が部屋の中へ入り、冬は部屋の暖かさが外へ出て行ってしまいます。熱を伝わりにくくする性能を「断熱性」といいます。「窓ガラスや窓わくの断熱性を高めて、外の気温の影響を受けにくくすることで、冷房や暖房を使う量が減り、電気代の節約や省エネにつながります」
断熱性を高めた窓には、2枚や3枚のガラスを組み合わせたものがあります。さらに、ガラスに金属のまくを貼りつけたり、間に熱が伝わりにくいガスを入れたりする方法もあります。

窓わくにも工夫があります。日本では10年ほど前まで、アルミ製の窓わくがほとんどでした。現在はアルミよりも熱を伝えにくい樹脂を窓わくに取り入れることで、より部屋の温度を保てる窓が増えています。
平井さんは「最近、地球温暖化などの問題を考える人が増え、2枚、3枚のガラスや樹脂製のわくを組み合わせた、より環境に優しい窓が求められています」と言います。時代とともに、窓作りも変化しています。
(朝日小学生新聞2023年4月4日付)

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