ウイルス使わずワクチンつくる

ワクチンは注射などで体の中に入れることで、病原体と戦うしくみの「免疫」をはたらかせ、病気にかかりにくくしたり、症状をやわらげたりします。1700年代終わりにイギリスで開発されてから、毒性を弱めて人間に悪さをしにくくしたウイルスなどが使われてきました。

このワクチンをつくるのに、ウイルスではなく「メッセンジャー(m)RNA」という新しいものを使えるようにしたのが、受賞する2人の研究成果です。

ウイルスを使わないワクチンには良い点があります。これまでワクチン開発には、早くても数年かかりました。悪さをしにくいウイルスを大量に用意する必要があるからです。でもmRNAはウイルスそのものはいらず、ワクチンを早く開発できるのです。

mRNAは人間やウイルスの遺伝情報の一部をコピーした「レシピ」のようなものです。体の中に入るとレシピをもとに、「たんぱく質」がつくられます。このレシピは書きかえられるので、うまく操作すれば、ウイルスを使うときと同じく、体の中で免疫のしくみをはたらかせることができます。

🄫朝日新聞社

ただmRNAは人工的につくると、免疫に「悪者」とみなされ攻撃されて、かえって体を傷つけてしまう弱点がありました。それを克服したのが2人の研究です。

転機は1997年。カタリン・カリコさんが、ペンシルベニア大学で雑誌のコピーをとろうとしたとき、ドリュー・ワイスマンさんと出会いました。話し合い、いっしょに研究を進めることに。mRNAの一部を別のものに置きかえ、「かざり」がついたようにすると弱点を克服できることを確かめ、2005年に発表しました。

でも研究成果は最初のうちはあまり注目されず、研究を続けるのにも苦労したそうです。その後、アメリカの製薬会社モデルナ社など研究を進める会社ができ、ワクチンの開発が加速していきました。

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