朝日小学生新聞で1969年から連載してきた泉昭二さん(90歳)の4コマまんが「ジャンケンポン」が3月31日、1万6362回で最終回となります。泉さんは2020年5月まで50年以上、新聞が発行される日は一日も休まずに新作を発表し続けました。読者への感謝の気持ちをこめた最終回の作品とともに、連載をふり返りながら泉さんの思いやメッセージを届けます。
2023年3月31日 ジャンケンポン最終回

夢中で続けた1万6362回
連載が始まったのは1969年9月30日。「1か月くらいやりませんか」と言われて始めたそうですが、2013年1月に全国紙で最長の連載まんがとなり、16年11月には1万5千回に達し、「ひとつの4コマまんがとして最も多く発行された回数」としてギネス世界記録に認定されました。
長期にわたる連載をふり返って「50年もたった感じがしません。やっている時は今でも夢中でやっちゃいます。でも、あらためて53年というのは大変なことですよね、自分で言うのもおかしいですが(笑い)」と泉さん。「まんが家の仲間が大勢いますが、こういう機会に恵まれて、長いことかかせてもらったのは、まったくありがたいことです」と続けました。
ギネス世界記録のほか、18年6月には半世紀近く小学生にまんがを発信し続けた功績が認められ、第47回日本漫画家協会賞の特別賞を受賞しました。そうした中で一番うれしかったのは、「今までジャンケンポンを続けられたこと」と答えます。
50年以上のつき合いとなったジャン、ケン、ポン。泉さんは3人の存在を「わたしには子どもがいないけど、自分の子どもみたい。とてもかわいいです。だから、まんがの中でもあまり悪いことをさせられない。こんな子どもたちがいたら、甘やかしてだらしのないオヤジになっていたかもしれません」と笑います。

やさしい気持ちでかくこと大切に
ジャンケンポンをかく上で大切にしてきたのは「やさしい気持ちでかくこと。それと、読む人をいやな気持ちにさせないこと」でした。「暗いニュースでも明るい方向へもっていくようなまんがにしたかった」
読者の健やかな成長を願い、少しでも楽しんでもらいたいとかき続けた泉さんにとって、読者からの感想は執筆する上で大きなはげみになったそうです。「みなさんが応援してくださって、ここまで来られました。長い間、ジャンケンポンを見ていただいて本当にありがとうございました」と話しました。
朝日学生新聞社は1万6362回で最終回を迎えたことを受けて、ギネス世界記録の更新を目指して申請します。

「ニュース ワカッタくん」作者
前川しんすけさんからメッセージ
泉さんに初めてお会いしたのは、わたしが20歳くらいのときですから、もう55年も前の話です。東京デザインカレッジの先輩と後輩という関係で、いつお会いしてもニコニコ笑っておられました。
連載して50年以上、一度も穴をあけること(連載をお休みすること)がなかったとか‼ わたしも朝日小学生新聞に連載させていただいて25年になりますが、一度病気で大きな穴をあけてしまったことがあります。泉さんはまさに鉄人まんが家! いや、鉄だと50年もたつとボロボロになってしまうので、ゴールドまんが家‼ これからもお元気で‼

1969年9月30日 記念すべき第1回

いずみ・しょうじ

1932年、東京都荒川区生まれ。8人きょうだいの末っ子。働きながら法政大学を卒業。会社員として働いた後、33歳から日本初のまんが学校「東京デザインカレッジまんが科」に一期生として入学し、プロのまんが家になる。
(朝日小学生新聞2023年3月31日付)

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