サンタクロースが乗るそりを引くのがトナカイ。北極圏などにすみ、日本の野生下にはいませんが、動物園では見ることができます。世界では、古くから人といっしょに生きている例もあります。(松村大行)

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おとなしくてサンタさんもお気に入り

トナカイは枝分かれしたりっぱな角が生えています。シカの仲間でめすに角が生えるのはトナカイだけです。

体をおおう毛はさわるとふわふわ。首の下の毛は特に長いです。冬のよそおいなので、気温が高い日が続くと息があがるそうです。

動物園では、イネ科とマメ科の草を混ぜたものや、ペレットという固形のえさを食べます。トナカイがすむ地域では丈の長い草が生えないため、えさの草も短く切っています。木の皮を食べてしまうので、おりの中の木にはカバーをまいて保護します。

クリスマスの歌では鼻が真っ赤ですが、実際の鼻は赤くありません。ただしオランダとノルウェーのチームによる12年の研究では、「トナカイの鼻は毛細血管が発達して赤くなっている」と結論づけています。吸いこむ空気を温め、脳を守るといいます。

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角は薬や化粧品に

野生のトナカイはユーラシア大陸や北アメリカ大陸の北部にいます。地衣類やコケ類などが生える「ツンドラ」や、「タイガ」という針葉樹林帯にすみます。

ユーラシア大陸側には北ヨーロッパのサーミ人など、トナカイを飼育してくらす先住民がいます。

トナカイは1年を通じて屋外で育てます。エサは自然にあるものでほぼ足りるそうです。肉や毛をとるほか、一部では乳も利用されます。角からは薬品や化粧品がつくられています。

野生のトナカイは肉や皮をとるために狩りの対象になりますが、習性のちがいにより家畜としては飼えません。「先住民は野生と家畜のトナカイをそれぞれ別の動物のように考えている」そうです。

そんなトナカイにも、地球温暖化の影響がおよんでいます。氷がとけて移動しづらくなったり、雨が増え洪水が起きて放牧地が荒れたりしています。資源が豊富なロシアでは各地で開発が進み、放牧地として使えなくなる場所も出ています。

クリスマスとトナカイ

『サンタクロースの大旅行』(葛野浩昭著、岩波新書)によると、1822年にアメリカの神学者が作ったとされる詩に、8頭のトナカイが引くそりに乗るサンタクロースが登場します。もっとも、20世紀前半にフィンランドで作られたクリスマスカードでは、トナカイの代わりにブタが登場しているそうです。

(朝日小学生新聞 2015年12月24付を再構成)

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