国語の読解力の屋台骨となる語彙力。新聞がスラスラ読めるようになるのが、だいたい二万五千語だと言われています。最近の子どもは語彙数が少ないと言われます。お子さんは新聞が読めますか?

多くのお母さんたちが「ウチの子は言葉の数が少ない、だから文章が読めない」と言い、「なにか良い問題集はないですか」と聞きます。

世に、子どもの語彙数を増やす問題集の多いこと。たいてい上段に言葉の意味が、下段には例文があって、線で正解を結ぶようになっています。よく出来ているなと感心しますが、これで覚えられたという話をあまり聞いたことがありません。日本語は同じ言葉でもシーンによって使い分ける多義語が多く、例えば「すえる」一語をとっても、「腰をすえる」も「お値段すえ置き」も「食べ物のすえた匂い」もあります。問題集で意味だけ覚えても実際に使うのは難しいのではないでしょうか。

「では、言葉の数が多い子はどうしているの?」と疑問に思われるでしょう。

それはちょっと難しい本を読んできた子ども達です。昔からある古典的な文学作品を読んできた子ども達は、さまざまな言葉を知っています。

また家庭で、周囲の大人が子どもに対して、どれだけ適切な言葉づかいで会話してきたかも大きな要因です。食卓でニュースを見ながら会話する、子どもの質問に答える、学校での出来事をきちんと聞いてあげる、これらをきちんと行うことが子どもの語彙力を育てます。

先日私も会社の人から「お互い、忌憚のない意見を述べましょう」と言われ、(ああ今はなかなか言わない言葉だな)と思いました。少し上の世代だと使うのかもしれませんが、今の子どもたちだと「はっきり言おう」とか「何でも言おう」くらいに言い換えてしまうかもしれませんね。

阪神の岡田監督を「可愛い」という子どもたちがいます。ぜひ親が「どうして可愛いと思ったの?」と聞いてあげて下さい。

そのようなたわいもない親子の会話から、自然と語彙力はついてくるものですよ。

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(朝日小学生新聞2024年1月17日付)