
女の子の多くが小学生の間に初潮をむかえます。性別に関わらず、生理のしくみやケアについて知ることは大切です。子どもの生理との付き合い方や伝え方について、思春期の子どもたちを専門的な知識でサポートする思春期保健相談士の大石真那さんに聞きました。(文・石川実恵子、監修・命育)
※医学的には「月経」といいますが、この記事では一般的になじみのある「生理」という呼び方を使っています。
Q 子どもが生理を「いやなこと」と思っているようです。どう対応したらよいでしょうか。
「生理は大切」と伝え 対応を一緒に考えて
血が出ることはだれにとっても一大事。いやだ、こわいと感じるのは当然です。でも生理は病気やケガではなく、体の中に起こる大切なことだよと伝えてもらえたらと思います。
初潮前の子が生理をいやだと感じているなら、理由を探ってみてください。たとえばお母さんが「生理はしんどいな、いやだな」というメッセージを出していると、お子さんもいやなものだと思うかもしれません。
すでに初潮をむかえている子の場合は、「いやなこと」の軽減方法がたくさんあります。おなかが痛いなら温める、軽い運動をする、薬を飲むなど。薬を避ける方もいますが、用量と用法を守れば問題ありません。ただ、一周期に何度も薬を飲む必要があるようなら、受診も検討してみてください。
生理用品に関する面倒やトラブルがあるなら、今はナプキンの種類も豊富になっていますし、吸水ショーツ等の新しい選択肢も増えています。
生理の悩みがあれば婦人科を気軽に受診してほしいです。「思春期外来」を設けている医療機関もあり、行きやすくなっています。保護者は「いつでも相談してね」と声をかけ、対応を一緒に考えてください。
絵本やイラストを活用し 科学的に、淡々と説明を
子どもに生理を説明するときのポイントは「科学的に、淡々と」です。小学校低学年なら子宮内膜については「赤ちゃんのベッドのようなもの」などのわかりやすい表現にし、高学年で理解できそうなら「子宮の内側の膜で子宮内膜というんだよ」と説明していいでしょう。
絵本やイラストを活用するのもおすすめ。子どもの反応や理解度を見ながら話せるのは家庭での性教育のよいところです。
男の子にも生理の話ができたら、とても大切な性教育になるでしょう。その場合は男の子自身の体の変化と合わせて説明するといいと思います。
性の話をタブー視する環境で育った保護者も多いのでは。親子で性の話をするのに抵抗を感じる方もいるかもしれません。家庭での性教育は「無理なく、気負わず、楽しく」が大事だと思います。性教育には人との違いを認め合う人権教育やお互いの心身を守る安全教育も含まれます。これらの話題から始めてみるのもひとつです。ご自身の価値観と向き合いながら、できることからやってみてください。

大石真那(おおいし・まな)
NPO法人HIKIDASHI代表、保健師/思春期保健相談士、「生」教育アドバイザー。保健師として行政機関に勤務した後、性教育講師の活動を開始し、学校などで講演活動等を行っている。4児の母。
プラス1 男女それぞれの体の変化を知って
大石さんの絵本『げっけいのはなし いのちのはなし』には生理のしくみと、生理を通して伝えたい大切なことがもりこまれています。主人公を小学3年生の男の子にしたのは「生理は女の子だけのものではなく、男の子にも知ってほしいと思って」と大石さん。「生理がクローズアップされがちですが、男の子の体も変わっていきます。男女それぞれの体の変化を知っておくことはとても大事だと思います」とも。
大石真那さんの本
『げっけいのはなし いのちのはなし』作:おおいしまな 絵:ふかいあずさ(みらいパブリッシング)

生教育プロジェクトは、「性を学ぶことは、生きるを学ぶこと。」をテーマに掲げ、子どもたちに性や命についてきちんと教えることを目的としています。
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https://www.asagaku.com/sex-ed.html
(朝小かぞくの新聞2023年10月20日号)

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