最低限の生活必需品を玄関に

能登半島地震をきっかけに、災害が起きて避難するときに家から持ち出す防災グッズや、普段から持ち歩くものを見直す人が増えています。防災を体験するイベントなどを開く会社「IKUSA」が運営するサイトの「防災リュックの中身」の記事は、地震があった1日から9日の間だけで、前の月と比べて約7倍見られたといいます。

防災士の資格を持つIKUSAの五十里航さんは、自分の体に合ったリュックを1人ずつ選び、最低限生活に必要なものを入れ、玄関に置くことをすすめます=記事の最後にリストがあります。

特に小学生は、栄養のある食品や緊急連絡先などを書いた情報カード、リラックスするためのおもちゃなどを入れるとよいといいます。「リュックの中に何が入っているか、どう使うか親子で話しながら用意し、半年ごとに見直しましょう。おすすめは、東日本大震災が起きた3月と『防災の日』がある9月。防災について特集が増えたり、売り場も充実したりするからです」

持ち歩きは「普段も使える」ものを

今回の地震が起こったとき、帰省したり、出かけたりしていた人も多くいました。災害はいつ起こるかわかりません。防災グッズを持ち歩く動きも広がっています。

防災グッズやプロジェクトを開発するNPO法人「プラス・アーツ」の小倉丈佳さんは「普段も災害時も活用できるもの」をすすめます。「気持ちが高まっているときはいろいろ用意するのですが、いつ使うかわからずスペースも取ると、持ち歩かなくなってしまうからです」

災害時の行動、連絡方法考える機会にも

「プラス・アーツ」の 小倉さんがすすめる普段から持ち歩くとよいもの

例えば❶口元をおおったり風呂敷のように使えたりする「大判のハンカチ」❷声が出せないときに使える「ホイッスル」❸雨や風、ほこり、寒さから身を守る「レインコート」❹水筒やペットボトル❺すぐに食べられるおかしなど❻ティッシュやウェットティッシュ❼よごれたものを入れたり、手袋のように使えたりする「ポリ袋」❽公衆電話用の10円玉などです。

持ち歩くものを見直すことで、「家族で話し合ったり、災害時どう動くか、どのように連絡を取り合うかを考えたりするきっかけにもなります」と小倉さんは話します。

全国で買い求めるうごき

防災グッズの売り上げものびています。ホームセンター「カインズ」では1~7日、前の年の同じ週と比べて、防災グッズのセットが約8倍売れました。転倒などを防ぐ商品は約3倍、非常食は約6倍です。

特に、非常用トイレや、お湯や水を注ぐだけで食べられるご飯が人気だといいます。広報の担当者は「カインズは全国29都道府県に239店舗ありますが、どの地域、店舗でも防災グッズを買うお客さまが増えています。各店舗で売り場を広げたり、特設売り場を作ったりして、お求めいただきやすいよう工夫しています」と話します。

カインズの防災グッズ売り場 カインズ提供

いざというときに持ち出す防災リュック

中身を確認!

  • 水(500ミリリットルのペットボトルを3本以上)
  • 長持ちして、すぐに食べられる食料品
  • 現金
  • 携帯トイレ
  • ばんそうこうなどの救急グッズ
  • 常備薬
  • 季節にあわせた衣類、下着1セット
  • 懐中電灯
  • 携帯ラジオ
  • トイレットペーパー
  • 軍手
  • 歯ブラシや水のいらないシャンプーなどの洗面用品
  • タオル2、3枚
  • モバイルバッテリー
  • 雨具、防寒具
  • ホイッスル
  • 筆記用具
  • マスクなどの衛生用品 など

ほかに、どんなものを入れるといいか考えてみよう。

(朝日小学生新聞2024年1月25日付)