自分の身を守り、環境に気配り
「服育®」という言葉を知っていますか。服を題材に健康や安全のほか、場面に合った着方や環境問題など、さまざまを学ぶことです。「服育net研究所」の有吉直美さんにQ&A(質問と答え)の形で教えてもらいました。(編集委員・沢辺雅俊)

手入れにコツ、SDGsも 知って選んで行動を
Q 服育って何ですか?
A 食べることから学ぶ「食育」は、かなり知られていますね。同じように服から健康や安全面、着こなし、環境など、さまざまなことを学ぶのが服育。2004年から進めています。
Q 服の役割とは?
A 大きく2種類あります。暑さや寒さ、けがなどから身を守るためのもの。もう一つはユニホームで自分の立場をあらわしたり、おしゃれをしたり、ほかの人とのコミュニケーションのためにするものです。
Q 身近な点で何を気にかけたらいいですか?
A まだまだ寒い時期。「重ね着をうまく」「三つの首を工夫」の2点に気をつけると、あたたかく過ごせます。
日々のあつかいでは「予洗い」がおすすめ。外遊びでどろがついたら、おふろに入ったとき、自分でちょっと手洗いしてから洗濯機に入れましょう。よごれが落ちやすくなります。
服選びでは「きょうは何をするのかな」と考えるといいでしょう。「お客さんが来るから、ちゃんとした印象のシャツに」「暑そうだから、ぬぎ着しやすいものに」といった具合です。
Q 環境問題に関心が高い人も増えています。
A 環境のために、実際にアクション(行動)できることが多いのが服です。買うときに自分に合うものがわかれば、むだなものを買わずにすみます。日々の手入れでは洗濯もそうですし、制服の上着などはハンガーにかければ、形がきれいなまま長持ちします。
また、着なくなった服をゆずる「リユース」、小物入れなどにつくり直す「リメイク」、店舗の回収ボックスに入れて資源にもどす「リサイクル」ができます。何を選ぶかという判断は、子どももできるでしょう。
服の国産比率はいま、2%以下。中国や東南アジアなどで生産されています。ニット(編み物)でない服は全自動の機械でできるわけではなく、どこかでだれかがミシンをふんでいます。服の裏側についている表示ラベルを見ると、原産国や素材がわかります。
Q アドバイスを。
A 服に興味を持ってほしい。機能や環境、SDGsなど、いろいろな面から知ってほしいですね。服の力はすごい。選び方や着こなしで自分の生活も、人とのコミュニケーションもかえられます。服について考えれば、もっと日々が楽しくなると思います。
有吉直美さん
大阪教育大学とイギリスの大学で学ぶ。ユニホームなどをあつかう商社「チクマ」に入社後、同社の「服育net研究所」で服育を広める活動を進める。『服育ナビ!』(すずき出版)を監修。
(朝日小学生新聞2024年2月9日付)