
いま、聞きたいハナシ!
色あせない思い 表現し続ける
ギターをひきながら、自分で作詞作曲した曲を歌うシンガー・ソングライターのLOVEさん。ラジオパーソナリティーとしても活躍し、今はTOKYO FMのスタジオから週3回、生放送に出演しています。東日本大震災の後、縁あって福島県相馬市の子どもたちを応援してきました。(岩本尚子)
2011年、東日本大震災の募金活動で東京に来た中学生に「相馬に来てくれますか」とさそわれ、LOVEさんは反射的に「うん」と答えました。「14歳にうんって言ったら、行かなきゃいけません」。その子のお父さんがまるで親せきのように、町の人に会わせてくれました。
相馬市の小学生に「入学おめでとう」の文房具をおくるための音楽イベントを12年に始め、交流を深めました。「原発事故があった福島は、復興に長くかかる。何か長期支援ができるポジティブ(前向き)なものは……」と考えるなか、インミンブルーという新しい顔料を知りました。紫外線を反射し、年月がたっても色あせないといわれる「永遠の青」です。「これで子どもたちに何かかいてもらって、応援をつのろう」。SOMA BLUE PROJECTが始まりました。
協力してくれる人や会社を見つけ、クラウドファンディングを立ち上げました。絵の具を作り、海開きで青い旗をはためかせ、広場をタイルでかざりました。今年は草スキー場とベンチができます。そこで遊ぶ子どもたちに「全国の人が相馬を支えてくれて、今がある」と、色あせず伝え続ける場になります。
LOVEさんは相馬の大人に「ふるさとのため、子どものため、ひとはだぬぐのが当たり前」という生き方を教わりました。「入学おめでとう」の文房具を最初に受け取った子たちは今年高校を卒業します。近いうちに復興の中心を担い、新しいアイデアも出すでしょう。「私はその話を聞いて、手伝えたらいいなと思います。おもしろそうだもんね」

LOVEさんを知るための質問
Q1 作詞・作曲をするってどういう感覚?
絵でいうと、風景をかくのが作曲に近くて、そこに人を置いたりクマを置いたりして、主人公をかくのが作詞に近いと思います。
Q2 ラジオで流す曲は全部知ってるの?
私はラジオを始めるまで、洋楽を中心に好きな音楽しか聞いてこなかったので、知らない曲もあります。放送にあわせていろいろ知ったり、勉強したりします。
Q3 子どものころの夢は?
小学1年でクマかリス、5年くらいで作家や先生。そのうち外交官や外務大臣、高校の時は性教育を変えたくて、文部科学大臣になりたかったですね。どうしたら大臣になれるかも知らずに(笑い)。
Q4 中学、高校ではどんな経験を?
11歳の時にアメリカに1年行って大阪に帰ってきて、姉のすすめでインターナショナルスクールに入りました。あらゆる国の子が全員、関西弁と英語をしゃべっていて、おもしろかった! 自分なりの答えを持つこと、ちがいがある時の議論の仕方なんかをたたきこまれました。
Q5 1995年の阪神・淡路大震災の時は
私がちょうどアメリカにいた年で、大阪に残っていた姉たちが被災しました。復興の歩み、神戸や三宮の景色が変わっていくのを、遊びに行くたびに見ていました。
Q6 初めてギターを持ったのはいつ?
15歳。授業のあき時間に学校のギターを借りて、音楽室で練習できたんです。アラニス・モリセット(カナダのシンガー・ソングライター)に衝撃を受け、「私ももっと自分を解放せねば!」と思っていた時期です。
Q7 アーティスト名「LOVE」の由来は?
18歳でバンドでデビューして、「愛を歌う」ってすごくむずかしいと思っていました。それなら自分の中の「愛が歌う」くらい良い音楽を作れたらいいな、「LOVEさん」になればいいんじゃない、って。
Q8 子どもたちに伝え続けたいことは?
感じたことを表現する方法は、言葉はもちろん、絵やダンス、音楽、スポーツ、いろんな方法がある。できればプロの作品を見に行って、すごい人たちに早く会うといい。自分の限界を取りはらってもらえて、くじけない心も試されるから。
ラブ
1983年生まれ、大阪府高槻市出身。バンドで2001年にデビュー。07年にソロデビュー。ラジオパーソナリティーを務めるTOKYO FM「ALL-TIME BEST」は月曜~水曜の昼に放送中。ドラマ「セレブ男子は手に負えません」では劇伴(劇中で流れる音楽)を担当。
(朝日小学生新聞2024年2月21日付)

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