半導体はゲーム機やスマートフォン(スマホ)などの電子機器に使われる、高い技術がつまった部品です。小さくてもいろいろな働きをするスーパーマンのような存在です。

スマホなど電子機器の部品 小さなスーパーマン
半導体って、何がすごいの?
A 電気の流れをあやつれる特別な性質を持ち、さまざまな働きで社会に役立つ機器を進化させる

電話を例にみてみます。昔は一家に1台、受話器のついた電話機がありました。やがて、持ち運びができる携帯電話が生まれ、今では多くの人がスマホを持っています。スマホは電話だけでなく、インターネット検索やゲーム、写真撮影など、いろいろなことができます。この進化を可能にしたのが、半導体という部品です。
スマホの中には、数ミリ~数センチほどの半導体がいくつも入っています。人間の脳のように、デジタル情報を計算して処理するかしこい半導体もあれば、写真やゲームのデータなどを保存する半導体、人間の目のように景色をうつしとる半導体もあります。
そもそも半導体とは何でしょうか。半導体はものの性質をあらわす言葉です。金属のように電気を通しやすいもの(電気伝導体)と、プラスチックのように電気を通さないもの(絶縁体)のちょうど中間にあるので「半導体」といいます。ふだんは電気を通さないけれど、条件を加えると電気を通す、というように、電気の流れをあやつれる特別な性質です。
部品としての半導体は、この性質を利用してつくられています。電気の流れや力をあやつることで、デジタル情報の計算や保存などができるようになります。
Q なぜ注目されているの? 日本の状況は?
A 未来をつくる技術だから。日本はかつて世界のトップだった。再び活気づかせようとしている

半導体の力は近年、さらに上がっています。スマホに使われている最先端の半導体は、ナノメートル単位の技術が使われています。1ナノは1ミリメートルの100万分の1、もはや目には見えない細かさです。一つの半導体の中により多くの技術をつめこむことができ、計算できる情報が増え、できることも増えていきます。
半導体の進化は、社会の進化です。半導体の能力が上がったことで、未来の技術も実現しました。例えば、まるで人間のように会話ができる人工知能(AI)や車の自動運転、仮想現実(VR)などです。世界中の研究者や会社が、半導体に注目しています。
日本は約40年前、半導体で世界のトップでした。しかし半導体の技術は日々進歩し、研究にはお金もかかります。日本はやがて、他の国との競争に負けてしまいました。今はアメリカ(米国)や韓国、台湾が世界をリードしています。
ただ、日本も復活をめざして動きだしました。研究者を集めて新しい会社を立ち上げたり、海外の有力な会社を呼びよせたり、日本の半導体をもう一度、活気づかせる試みが始まっています。
最近のNEWS
製造工場の計画が次々
政府は半導体をつくる会社が工場を建てるときの費用を補助しています。さらに、会社が国に納める税金を少なくする制度も始めようとしています。お金の負担が小さくなれば、国内に工場を建てたいと考える会社が増えるからです。半導体産業を日本で育てようとしています。
半導体をつくる世界1位の会社は、台湾の「台湾積体電路製造(TSMC)」です。TSMCは熊本県に新しい工場を建てていて、2024年に生産が始まります。他にも、日本のソニーが熊本県に、米国のマイクロンが広島県に新工場をつくろうと準備しているなど、たくさんの計画が進んでいます。
(朝日小学生新聞2023年11月17日付)

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