世界に影響力をもつ米国のリーダーを決める

米国の大統領選挙はどんな仕組み?

A 二つのステップで、1年近くかけて大統領を選び出す

解説者 高野遼 朝日新聞アメリカ総局記者

米国では4年に1度、新しく大統領を選ぶことになっています。いまのバイデン大統領が選ばれたのが2020年11月なので、次の大統領選挙は今年11月に予定されています。

米国には大きな政党が二つあります。民主党と共和党です。それぞれの政党を代表する2人の候補者が11月の選挙で、大統領の座をめぐって争います。

大統領選挙は、大きく分けて二つのステップで進められます。

まずは、それぞれの政党の代表者を決めていきます。民主党も共和党も、複数の候補者がいるなかから、1人にしぼりこまなければいけないからです。

50ある州ごとに予備選挙や党員集会があり、それぞれの政党の支持者が投票をします。数か月かけて投票を進め、そこで選ばれた1人だけが、政党から正式な大統領候補者として指名されるのです。

民主党と共和党の正式な候補者が決まると、ここからは2人の一騎打ちの構図です。2人は各地で演説会を開いたり、テレビ討論会で意見を戦わせたりして、11月5日の選挙当日をむかえます。

Q 今回はどんな顔合わせになりそう?

A 前回と同じく、バイデンさんとトランプさんの争いになるかもしれない

解説者 高野遼 朝日新聞アメリカ総局記者

民主党からは、いまの大統領であるバイデンさんが再選を目指しています。ほかに党内で有力な候補者がおらず、バイデンさんが民主党の正式な候補者に指名されそうです。

ただし、81歳という年齢を心配する声もあります。すでに米国の歴史上で最も高齢の大統領で、さらにあと4年間も、とてもいそがしい大統領の仕事をこなすことができるか、不安に思う国民が増えています。

一方の共和党では、10人以上の政治家が立候補しました。なかでも前の大統領だったトランプさんが一番人気です。いまも多くの支持者がいて、大統領への復帰を目指しています。

トランプさんは去年、米国の大統領経験者として初めて刑事事件の責任を問われて起訴(刑事訴追)され、大きな話題になりました。4年前の大統領選挙で敗れたときに、不正に結果をくつがえそうとした罪や、機密文書を持ち出した罪などに問われています。本人は罪を否定していて、裁判の判決はまだ出ていません。

もし、今回もバイデンさんとトランプさんの2人の対決となれば、大統領選挙は4年前のようにはげしく競り合う戦いになると予想されています。

最近のNEWS

共和党の候補者は? 各州での投票に注目

まず注目されるのは、共和党がだれを正式な候補者として選ぶかです。最初の投票となった1月15日のアイオワ州の党員集会では、トランプさんが圧勝しました。今後、各州で投票が行われます。特に3月5日は「スーパーチューズデー」と呼ばれ、多くの州でいっせいに投票があり、候補者選びで大事な一日になります。

今回の大統領選挙では、トランプさんの刑事裁判がどうなるかも重要になりそうです。最初の公判は3月に始まる予定になっていますが、遅れる可能性もあります。選挙の前に有罪や無罪の判決が出れば、人々の投票先に影響することもあるといわれています。

「スーパーチューズデー」とは?

朝小プラスまなび

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(朝日小学生新聞2024年1月19日付)