
連載コラム【近藤先生と休み時間】
中学受験に向けてプロ家庭教師の 近藤先生からのアドバイス!
ここ10年ほどで、模試にしても本番の入試にしても、問題文が本当に長くなりました。
6年生の国語の模試では、60分で一万字近くの長文を読まされることもあります。国語のみならず、理科も社会も導入文がたいへん長く、導入文を読んで何が求められているのかを読み取るところから始まっています。どの子どもも口をそろえて
「時間がない」と言います。
模試の過去問は塾で販売しているところもあるので、一度買って、本当に時間がないのか計ってみるとよいでしょう。
国語は大問一題につき20分で解くのがセオリーです。計測すると、予想以上に時間がかかっているかもしれませんね。何しろ長文です。すると
「速く読まないと解けないわ」と考えるご家庭もあり、速読を習いに行かせる親もいらっしゃいます。
多くの速読教室では、文をかたまりとして捉え、文章の終わりから文頭につなげて斜めに目を走らせるなどのテクニックを教えてくれます。「速く読むだけ?」そう、速く読むだけです。母国語が日本語なので、読むには読めます。しかし、意味を考えながら、理解して読めたかというとそうではないこともあります。入試で問われている力は「速く読む」ではなくて、「考える」力の有無です。そこが勘違いしがちな箇所なのです。つまり大問一題につき20分以内で解くのがセオリーだけれども、内訳は読みに10分、解答作成に10分が目安です。一回で読んで、一回で解く。それに6年ともなれば五千語程度なら、黙読で平均7~8分で読めます。
「多文化共生社会における日本語教育の役目」という文を見たとき
「異なる文化的背景を持つ人々と、ともに生きる社会、そこにおける日本語教育の役目とは何なのか」
と考えられるかどうかが大切なのです。速く読めてもいいけれど、理解できていないと意味がありません。ポイントはそこです。
「それでも速く読むに越したことはない」と考える方は速読教室へ行ってもいいでしょう。
「速読で成績が上がった」という話はあまり聞かないのですが、社会人や読書好きには役に立つのだろうなと思います。
<提供>総合進学セミナー:https://www.sougousingaku.co.jp/(外部リンク)
(朝日小学生新聞2024年3月17日付)

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