政治とお金
政治活動にかかるお金の問題が、国会で議論になっています。そもそも政党や政治家はどうやってお金を集め、どのようなことに使っているのでしょうか。

政治家が集める活動資金の透明化を国会で議論
Q 政治に使うお金はどのように集められている?
A 寄付とパーティー収入、国からの交付金が中心

政党や政治家が政治活動をするには、お金がかかります。国会近くにある議員会館の事務所は無料で使え、国会議員秘書の給料は3人分まで政府の予算から支払われます。ただ、ほとんどの国会議員は地元の選挙区にも事務所や秘書をおいていて、その費用などは自分でまかなわなければなりません。
政党や政治家の主な収入源は①企業・団体や個人からの寄付②パーティーの売り上げ③国からの政党交付金の三つです。
寄付は、企業・団体や個人が応援したい政党にお金をおくることです。パーティーは、政治家などが資金集めを目的にホテルなどで開く集会です。参加者が買う入場券は1枚2万円ほどで、その売り上げから、かかった経費を差し引いた額が収入になります。
政党は議員の数や得票率で一定の条件を満たすと、国から政党交付金を受け取ることができます。国民1人あたり年250円で計算した金額を、受け取りを希望する党で分け合います。例えば今年は総額約315億円のうち、自民党が約161億円、立憲民主党が約68億円を受け取る見こみです。
Q 政治資金の法律を見直そうとしているの?
A うまく改正できるかは、わからない

1月に自民党の安倍派に所属していた衆議院議員・池田佳隆被告が、政治資金規正法違反の罪で起訴されました。
政党や政治家は、政治資金をだれからいくら集め、何に使ったかを報告書にまとめて公開しなければなりません。お金の動きをだれにでもわかるようにして、お金を出した人の利益にかたよるような政治が行われないよう、みんなで見守るのが目的です。
池田被告には、5年間で約4800万円の収入を報告書に書かなかった疑いがあります。同じように報告書に書かなかった議員はほかに何人もいて、国民からの批判が強まっています。
このままでは自民党の支持率が下がってしまう。こう考えた岸田文雄首相は、政治資金規正法を改正するつもりです。公開しなければならない金額を引き下げたり、罰則を厳しくしたりすることが想定されています。
野党も法改正には基本的に賛成です。企業や団体からの寄付をすべて禁止すべきだなどと、自民党の考えよりはるかに厳しい改正をうったえている党もあります。
一方、あまり厳しくしてお金が集まらなくなっては困るというのが政治家の本音です。どのように改正していくか、意見をまとめるのは難しそうです。
最近のNEWS
安倍派、岸田派など 解散を決める
自民党の六つの派閥のうち、安倍派、岸田派、二階派、森山派が解散することを決め、茂木派は「政策集団」に移行する考えを示しています。自民党議員の最近の事件が、派閥の政治資金パーティーにかかわるものだったからです。
自民党の派閥は党内の権力争いの舞台となっていて、以前から「なくすべきだ」と言われていました。その意味では政治の改革への一歩となるかもしれません。
ただ、自民党ではこれまでも派閥が解散しては新たな派閥が生まれることをくり返してきました。政治にくわしい人たちからは「今回もそうなるだけではないか」とみられています。
(朝日小学生新聞2024年2月9日付)

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