みんなに北極のことを知らせたい
北極圏のデンマーク・グリーンランドに30年以上通い、犬ぞりや科学観測のサポートをしてきた探検家の山崎哲秀さんが去年11月、現地で行方不明になりました。セイウチにおそわれた可能性があるといいます。山崎さんが準備を進めていた子ども向けの本『犬ぞりで観測する北極のせかい』がこの春、専門家の協力もあって完成しました。(今井尚)

自由研究・探究学習のヒント
#北極 #探検家 #地球温暖化
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・なぜ、北極や南極は寒いのかな?
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去年11月、現地で行方不明に「日本の観測拠点つくるのが夢」
「北極に日本の観測拠点をつくるのが夢です。ぜひ応援してください」。数年前に取材したとき、熱く夢を語っていた山崎さん。去年11月29日、北極圏の村シオラパルクで「海氷への下り口を探してくる」と村の人に伝えた後、行方が分からなくなりました。村の人によると、海の氷には穴が開いていました。
山崎さんは高校生のころ、冒険家・植村直己さんが書いた『青春を山に賭けて』を読み、植村さんのような冒険がしてみたいと思うようになりました。植村さんと同じように、日本を徒歩で旅し、南アメリカのアマゾン川をいかだで下りました。
植村さんは1970年代にシオラパルクに住み、北極圏を犬ぞりで冒険しています。山崎さんも20代でグリーンランドにわたり、冒険を重ねて、犬ぞりの技術も身につけました。
95年にノルウェーのスバールバル諸島で学術研究チームに参加。極地では冒険だけでなく、さまざまな研究活動も行われていると知って、興味を持ちます。その後、南極観測隊などにも参加しました。
「自分のやってきたことが、研究者や誰かのために役立つことがうれしかったんじゃないでしょうか」。そう話すのは、同じ南極観測隊で知り合い、結婚した妻の有佐さんです。
南極観測隊で誰よりもてきぱきと仕事をこなし、みんなと協力して、目をキラキラさせながら北極の夢を語る山崎さんの姿が心に残ったといいます。
結婚した後も毎年、冬を中心に半年ほどは北極に出かけた山崎さん。講演をしたり、Tシャツを売ったりして費用を集めました。さまざまな賞をもらい、寄付も募って活動を続けます。
北極では気象の観測を長年続け、研究者にデータをわたしました。
ほかにも、北極を訪れる研究者たちが安全に活動できるよう支援する仕事などをしてきました。
妻と研究者が思いをくみ、本が完成
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