最近よく聞く「バブル」。日本では株や土地の値段が急激に上がった「バブル」の時代があり、あわのようにはじけて苦しい時期が続きました。今もバブルなのでしょうか?

株・土地の値段が急上昇 急落は経済全体に影響
Q バブルって?
A 価値以上に評価が高まる現象

バブルとは英語で「あわ」という意味。あるものに対して、本来の価値をこえる評価がついている現象を表すことばです。価値をこえてふくらみ、いつはじけるか不安定な状態を「あわ」と表現したのです。
日本では1980年代後半から90年代前半にかけて、投資のブームが起きました。土地などの不動産、株価、絵画などの価格が右肩上がりだった時代です。
東京23区の土地だけで、アメリカ全土が買えるまでに不動産の価格が急上昇しました。当時、不動産王といわれた堤義明さん(西武グループの元オーナー)は世界の億万長者ランキングで1位に。いまの日本では考えられないことが起きていました。
ずっと価格が上がり続けるならば、多くの人が幸せになれます。しかし、本来の価値以上につり上がった価格は、いつかは下がります。その下がり方があまりにも急だと、経済全体にマイナスの影響をもたらします。日本は政治の失敗も重なり、株価も不動産の価格も急に下がりました。それが何十年もの間、経済が苦しむ原因の一つとなりました。
このところ、「バブル以来の~」というニュースが続いています。日経平均株価はバブル期をこえ、2月に史上最高値を更新しました。都市部を中心に土地の価格も上がっています。またバブルが起きているのでしょうか?
Q いまはバブルなの?
A 時がたたないとわからない

いまがバブルかどうかは、後の時代にならないとわかりません。いまの株価や不動産の価格などが、欲しい人が増えて自然と上がった結果なのか、だれも判断できないからです。さまざまな理論をもとに、価値に見合う価格かどうかを計算することはできます。しかし、理論にもさまざまなモデルがあります。結局なにが正しいかは、神様にしかわかりません。
1980年代の日本でも、みんながバブルだとわかっていたなら、価格は上がらず、バブルなんて起きなかったかもしれません。政府もちがう政策をとったでしょう。バブルは中にいる間は判断が難しく、こわいものなのです。
日本がバブルだったころ、「もっと価格が上がるはず」と欲を出し、財産のすべてを株式や不動産に投じた人が少なからずいました。こうした歴史から私たちは学ばなければなりません。たとえば一つのものに対してお金を集中させるのでなく、分散して投資をするなどです。そうすれば、一気に財産を失うリスクを軽くできるといわれています。
最近のNEWS
株価が史上最高値更新 はだ感覚とのちがいも
日本を代表する株価指数の「日経平均株価」が2月に、バブル時代の1989年につけた3万8915円87銭をこえ、終値としての史上最高値をぬりかえました。株価に大きな影響力がある半導体の関連企業が人工知能(AI)のブームで業績がのびて、価格をおし上げました。
ただ日本全体をみると所得が増えた人ばかりでなく、生活が苦しい人もいます。はだ感覚で感じる経済と、株価ののびとのちがいから、「いまの株価はバブルでは?」という声もあります。
正解は5年、10年先にしかわかりません。株価の上昇にうかれて投資ばかりに夢中になるのではなく、目の前の勉強や仕事に集中するのが大切だと思います。
(朝日小学生新聞2024年4月5日付)

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