今年は世界各国で大きな選挙が続きます。人口が世界一のインドでも6月初めまで、5年に1度の総選挙が行われています。投票できる有権者が約9億7千万人という世界最大の選挙。日本の選挙とちがうところもたくさんあります。(松村大行)

自由研究・探究学習のヒント
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・人口が多い国トップ3はどこ?
・今年はインドの他にどんな国で選挙がある?
・インドの政党マークのように、各国の選挙で工夫されていることを調べてみよう

インドの国会は日本と同じく議会が二つに分かれ、そのうち下院の議員543人を選挙で選びます。選挙の結果で、政権をになう政党が決まります。
今回の選挙は4月19日に始まりました。日本の選挙は長くても始まってから3週間たらずで投票を終えますが、インドでは1か月半の間に、地域別に7回に分けて投票します。
前回2019年の選挙では全国で約670の政党が、8千人をこえる候補者を立てました。今回、投票所の数は約100万か所、たずさわるスタッフは1500万人。2兆円の費用がかかるといわれています。

開票は6月4日にいっせいに行われ、早ければ丸1日で結果が出ます。規模のわりに集計が早いのはボタンをおして投票する電子投票機を取り入れているからです。

文字を読めない人もいるため、候補者の政党を表すマークをボタンにつけます。モディ首相(73歳)ひきいる与党のインド人民党は「ハスの花」、野党の国民会議派は「手のひら」。パンを焼くトースターを使う政党もあります。
朝小プラスまなび
モディ首相

インドがイギリスから独立した後に生まれた世代で初の首相。働き者で、汚職を許さない性格で知られる一方、ヒンドゥー教徒をひいきする政策で批判もされます。
インドでは公用語のヒンディー語をふくめ、憲法で認められた言語が22もあります。国民の8割がヒンドゥー教徒で、「カースト」という身分制度が影響をおよぼしています。出身の部族もさまざま。そこで選挙でも、立候補できるカーストや部族を限定した選挙区を設けています。これは日本にないしくみです。
モディ首相の党が勝ちそう/貧富の差など心配も
「世界最大の民主主義国」
インドの政治にくわしい岐阜女子大学南アジア研究センターの笠井亮平さんは「選挙を通じた民主主義こそ、多様なインドが一つにまとまるかぎ」だと考えています。インドは1947年にイギリスから独立してからずっと、選挙で政権を選んできました。パキスタンやミャンマーなど周りの国では、軍が力ずくで政権をとるクーデターをくり返していますが、インドでは一度も起きていません。
ただ、インドでは政治家がお金をもらって権力を悪用する汚職など、政治にまつわる問題が山積みで、「決して100点満点ではない」と笠井さん。「それでも、世界最大の民主主義国であることをほこりにしています」
いっきに進んだ経済成長
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