
世界最大の両生類で「生きた化石」として知られるオオサンショウウオ。日本に生息してきた在来種は国の特別天然記念物として大事にされています。しかし、外国から来た外来種と、外来種と在来種のあいだに生まれた交雑個体が7月1日から、駆除の対象になります。専門家は「交雑個体を生み出した人間の側の問題も大きい」と話します。なぜ、このような事態になってしまったのでしょうか。(中尾浩之)
自由研究・探究学習のヒント
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数が減った在来種を守るためだけれど…
外来種を持ちこみ、川に放したのは人間
環境省は5月、外来種のチュウゴクオオサンショウウオと、その交雑個体を7月1日から「特定外来生物」に指定する、と発表しました。

飼うことはもちろん、移動や、ゆずったり、販売したりすることも原則禁止になります。自治体が国の支援を受け、駆除できるようになります。
なぜ、こうした事態になってしまったのでしょうか。
オオサンショウウオにくわしい、京都水族館の展示飼育チーム長の河﨑誠記さんによると、交雑個体が生まれたのは中国から持ちこまれたとされるチュウゴクオオサンショウウオが発端です。人間の勝手な都合や、まちがった善意で川にはなたれ、本来のすみかではない日本の川で野生化し、在来種との間に交雑個体が生まれるようになりました。

朝小プラスまなび
在来種のオオサンショウウオは国の特別天然記念物に指定され、厳しく守られてきました。原則、国の許可を受けずに捕まえることや、飼うことはできず、さわることすら許可が必要です。
そのため、在来種を親に持つ交雑個体は保護すべきか、駆除すべきか、あいまいな存在としてそのままにされ、どんどん増えていきました。河﨑さんは「このままでは交雑がさらに進み、在来種がいなくなってしまう恐れがある」と話します。
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