誰もが第一志望校合格を目標に勉強していますが、試験は絶対ではないので、不合格の時もあります。

塾の合格体験記や、入試報告会では、不合格の「不」の字も出ません。

第三志望を第一志望にすり替えて語られるのがオチです。なので、万が一、わが子の第一志望校不合格に直面した場合、心の持っていきようがありません。

ダメだった場合、その理由はいろいろあるでしょう。体調不良やプレッシャー負けもあります。苦手科目が足を引っ張ったのか、出題傾向が例年と大きく違ったのか、本当にさまざまです。その通知に衝撃を受けるのは親です。子どもは案外、滑り止め校でも喜んで通ってくれますが、親はそうはいかないことが多いです。夫(もしくは妻)に八つ当たりしたり、祖父母からもダメ出しされたり、さりとて塾に文句も言えず、家のごみ箱を蹴り飛ばし、隠れて号泣することになります。また、子どもにも当たってしまいます。

「あなたが~~だから、落ちたんでしょ」

「~~」にはご自分の思いつく言葉を入れてください。「ちゃんと勉強しなかった」「字が汚かった」「途中式を書かなかった」等々。

子どもは自分の分身でもあるので、不合格はとんでもない烙印に映ります。子、家族、塾を責め、何より自分自身を責め、将来が終わったかのように打ちひしがれる人もいます。

実は、この後挽回のチャンスは何度も訪れます。

志望校に合格した子が、思わぬアクシデントで凋落していく様にも出会います。子どもが18歳になり、晴れて大学入試合格の場でも

「中学受験には失敗したけれど…」
と言い出して、周囲を苦笑させるかもしれません。それだけショックが大きいのです。

その対処法はありません。中学受験は不合格の時もある、とちょっと想像しておくだけで、その日の受け止め方は違うでしょう。ダメだった時こそ、親が子から分離して、大人として「次がんばろう」と言えるかどうか、親としての力量が試されていると思います。

塾は「合格」しか言いません。少しそういう日の可能性も考えておくと、良いでしょう。そのような事を前もって考えている人に限って、案外合格している場合が多かったりするものです。

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(朝日小学生新聞2024年6月20日付)