
「森の賢人」とも呼ばれるオランウータンが、自ら薬草を顔の傷にぬって治療する――。そんなようすを、ドイツなどの研究チームが観察しました。これまでにも類人猿が自分を治療することは知られていましたが、くわしいことはよく分かっていませんでした。(朝日新聞科学みらい部記者・市野塊)
自由研究・探究学習のヒント
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・オランウータンの体の特徴を調べてみよう
・オランウータンを飼育している動物園では、どんな工夫をしているかな
・絶滅が心配される動物は、ほかにもいるかな? 原因は?
汁や果肉をくり返し 治るまでぬった
人間に似た、サルなどの類人猿が自ら病気やけがを治療することは、これまでにも知られていました。例えば、薬草をのみこんで、体内の寄生虫をおさえようとする行動がチンパンジーやボノボ、ゴリラなどで確認されています。傷に対しては、チンパンジーが昆虫を傷にぬることが報告されていました。
今回の研究で、けがの治療が確認されたのは、インドネシアのスマトラ島にある国立公園にすむ、スマトラオランウータンのおすの「ラクス」です。1980年代に生まれ、40歳くらいと推定されています。

チームの報告によると、2022年6月22日、ラクスの右側のほおに目で見て分かるほどの傷ができました。おす同士のけんかによるものとみられました。
25日、ラクスは植物の葉や茎を口にふくみ、のみこまずにかみました。この植物は、痛みをしずめたり熱を下げたりする作用などで知られています。人間も伝統的な薬物療法で使います。
ラクスはその汁を指で顔の傷にぬりつけました。7分間にわたり、数回続けました。果肉をこすりつけることもありました。
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