教育アドバイザー・清水章弘さんがアドバイス

 夏休みの宿題で、頭を悩ませる人が多いとされる自由研究。テーマ選びにまよったら、新聞を活用してみるのはどうでしょうか。教育アドバイザーの清水章弘さんに、自由研究につながる新聞スクラップのこつを教えてもらいました。(浴野朝香)

どうして新聞スクラップがいいの?

読解力や学ぶ力、身につく

さらに運命の「出あい」も…

新聞スクラップは、新聞を読んで興味を持った記事や写真を切りぬき、スクラップブックやノートにはることです。記事を深く読んで、わかったことを短い文章に要約し、感じたことを書いてみましょう。さらに調べ学習につなげれば、立派な自由研究になります。

清水さんは「いつもよりまとまった時間がとりやすい夏休みにぜひ挑戦してほしい」と話します。

続けることでどんな力がつくのでしょうか。まず、文章の内容を理解する力「読解力」です。「内容を要約するためには、記事に真剣に向き合い、一言一句ていねいに読みこむ必要があります。それを続けることで読解力が身につきます」と清水さん。

記事につく写真や図表、イラストなども内容を理解するうえで欠かせない要素です。文章とそれ以外のいくつかの情報を組み合わせて理解する力は、受験でも求められています。

もうひとつは、「自ら学ぶ力」です。新聞には、たくさんの記事がのっています。スクラップする記事をさがそうと、すみずみまで目を通すうちに、それまで関心がなかった話題にも興味を持ちやすくなります。

興味を持った話題について自ら課題を見つけ、学びを深めながら解決していく活動は「探究学習」ともいいます。中学や高校でも、また大人になってからも必要とされる力をつけることができます。

「ページをめくった分だけ出あいがあるのが新聞の良さ。新たな出あいから疑問が生まれ、興味関心が広がり、好きなことや得意なことが増えていきます。それが理科や社会、算数といった教科の学力向上にもつながっていくのです」

用意するものや作業の流れは、下のイラストを参考にしてください。

ここからは、実際に朝日小学生新聞の1面の記事を使って、自由研究につながる学習の進め方を紹介します。

記事を三つ選ぶ

ふだんは手にとらないものも

新聞には、いろいろな話題がのっています。最初から最後のページまでめくって、まずは三つ記事を選びましょう。レストランのビュッフェで料理を選ぶときのように、好きなものだけでなく、食べたことがないけれど気になるものも手にとってみましょう。

選んではみたものの、うまく自由研究につながらないことも。最終的には一つにしぼってもいいでしょう。

声に出して読む

新聞には、ふだんの会話では使わない言葉が出てきます。「学習語彙」といって、文章を書くときに必要になります。音読することで、こうした表現も自然と身につきます。

▽学習語彙 現象 しくみ 帯びた 発生 しばしば

写真・図表もよく見る

記事の内容をおぎなう写真や図表からもたくさんの気づきがあります。

新聞名と日付を記録

新聞の名前と発行日、スクラップした日も忘れずに書いておきましょう。

要約する

まず「見出し」に注目!

要約とは、記事に書いてある文章を短くまとめることです。まずで囲んだ「見出し」を見てみましょう。見出しは、記事の中で一番伝えたいことや知ってほしいことなどを短く表現した文です。記事の中から見出しの内容が書かれている部分を探して、文章にまとめてみましょう。

感想をまとめる

感じたままをメモ ➡ 表現を整える

読みながら、感じたことをメモしておきましょう。「ありえない」と思ったら率直に「ありえない」と書いておきます。文章にするときは、インターネットの類語辞典などで、書き言葉ではどう表現するかを調べるといいでしょう。自分の気持ちにぴったりな言葉を選びましょう。

スクラップ用の紙面はこちら(PDF)

しみず・あきひろ

 東京大学教育学部、同大学院で学ぶ。勉強のやり方を教える塾「プラスティー」を東京・京都・大阪で運営。勉強法についての著書多数

自由研究のヒント

記者からもヒントを出すよ

夏休みの朝日小学生新聞は、自由研究につながるヒントを出します。おもしろそうな記事を見つけたら、ぜひスクラップしてください。

朝小公式サイトも見てね

朝日小学生新聞の公式サイトには、「おまかせ自由研究」特集をはじめ、夏の学習に役立つ情報がたくさん! テーマ選びの参考にしてください。

朝日学生新聞社のウェブサイト

デザイン・あきもとまさと

(朝日小学生新聞2024年6月22日付)