中学受験が終わっても繋がりがある生徒さんがいます。

ある男子生徒は第4志望まで落ちて、公立中学に進学かと、一家全員落ち込んでおり、お父さんまでが泣きながら電話をしてきました。

「高校受験で、リベンジしてください!」
と返事したところ、後日第4志望校の補欠合格にひっかかり、なんとか私立中学への入学先は確保しました。ただ、この生徒にとっては正直あまりよろしくない結果でした。

「お父さん、お役に立てず申し訳なかったです」

「いえいえ、中学でも頑張りますよ」

それで終わりのはずでしたが、その後、彼と最寄り駅でよく会うようになりました。

小学生の時は、運動がそれほど好きな子ではありませんでしたが、中学校からは剣道部に入部し、毎日の早朝練習の前に、早く行って英単語の暗記をやっているという話でした。

中学受験生の時は
「毎朝早起きして、計算と漢字の勉強をしなさいよ」
としつこく言っていても、なかなかできなかったのが噓のようで、自分から勉強していると言うのです。胸を張って「英語は順調です」とまで言っていました。

実は、最後の授業で、私は彼に今後のアドバイスという置き土産を残して来ました。

「今はちょっと落ち込んでいるかもしれないけれど、英語だけはしっかりがんばりなさい。文系でも理系でも、英語は絶対にいるから、必ず勉強しなさい。『中学に入学したら』英語をするのではなく、『今日から』するんだよ。特に私学は学習進度がはやいから、今から月と曜日と身の回りの持ち物を英語で書けるようにしておくのがコツだよ。薄い英単語の問題集を4月までに終わらせなさい。ラジオの英語学習もいいよ。教科書は2冊買って、1冊は置き勉、もう1冊は家に置いておくのもいいよ。

『鶏口となるも牛後となるなかれ』

次の中学で英語のトップになりなさい、理科と社会は高校からで間に合うから、とにかく時間のかかる英語をやりなさい。」
と、伝えておいたのです。

入学先の学校との相性も良かったのでしょう。毎日がとても楽しいと言っていました。入った学校が御縁と信じて、この先も頑張ってほしいですね。

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(朝日小学生新聞2024年7月17日付)