泳ぎながらパス、シュート

1チーム7人、「水中の格闘技」

陸上とちがって水の中では、動くだけでどんどん体力をうばわれます。それなのに、「プールの底にずっと足をつけずにボールを投げて!」と言われたら、できますか? 水球はそんな競技です。

五輪など国際大会では、大人でも足がつかない深さのプールにたて30メートル、横20メートルのコートをつくってゴールを置きます。1チーム7人ずつで対戦。相手の守備をかいくぐりながらパスを回してシュートをうち、得点を競います。

試合は四つのピリオドで区切られ、1ピリオドは8分間。攻撃を始めて30秒以内にシュートをうたないといけません。GK以外はボールを片手でしかあつかえません。さらに、ボールを持つ選手が相手ならタックルしてもよいというルール。体の強さも求められます。

世界選手権の決勝で競り合うハンガリーの選手(右)とギリシャの選手=2023年7月、福岡市 ©朝日新聞社

1900年から五輪の競技

もともとは、「水中でやるラグビー」としてイギリスで発展したスポーツです。その後だんだんと、サッカーに近いルールに変わったそうです。

パリで最初に五輪が開かれた1900年大会で男子の競技として採用。100年後の2000年に開かれたオーストラリア・シドニー大会から女子の種目も加わりました。日本代表は男子が1932年のアメリカ(米国)・ロサンゼルス大会に初出場。女子は2021年の東京大会が初出場でした。

東京大会では男子はセルビア、女子は米国がそれぞれ金メダルを獲得。ヨーロッパで「水球王国」として名高いハンガリーが男女とも銅メダルでした。日本代表はまだメダルをとったことがありません。

イラスト・佐竹政紀

日本の男子はアジアの王者

パリ大会には東京大会と同じく男子12チーム、女子10チームが出場します。東京大会は10位だった男子の日本代表は、去年10月のアジア大会で53年ぶりに優勝。3大会連続となる五輪出場を決めました。女子代表は残念ながら、出場がかなわない状況です。

五輪の会場は、ふだん地元ラグビーチームのスタジアムとして使われているパリ・ラ・デファンス・アリーナ。7月27日から16日間にわたり、水中の熱戦がくり広げられます。

【競技日程】

水球 7月27日~8月11日

(朝日小学生新聞2024年4月17日付の記事を再編集しています)