
フランスの首都パリで開かれるオリンピック(五輪)とパラリンピックの注目競技を紹介します。今回は古くからヨーロッパで行われていた武器を使ったスポーツで、試合でフランス語が使われるフェンシングです。
目にもとまらぬ剣さばき
剣の種類で3種目に分かれる
フェンシングは剣で戦う競技です。パラリンピックでは車いすフェンシングが行われます。どちらも試合場(ピスト)で「フェンサー」と呼ばれる選手が向かい合い、細くしなる剣を交えます。
剣は断面のかたちやしなり具合がちがう「フルーレ」「エペ」「サーブル」の3種類。剣の種類で種目が分かれます。全身に防具をまとう相手の「有効面」に攻撃が決まると1点が入ります。
フルーレは胴体のみ、エペは体中どこでも、サーブルは上半身すべてと、種目ごとに有効面の場所がちがいます。サーブルだけ、剣先でつくだけでなく、斬る攻撃もできます。
車いすフェンシングも同じ剣や防具を使います。固定された車いすにすわり、上半身のみを使います。
個人戦と団体戦があり、五輪では男女あわせて12種目。個人戦は3分間の戦いを3セットする間に、先に15点とるか、試合が終わったときに得点が多かった選手が勝者です。
団体戦は1チーム3人(加えて交代選手1人)による総当たり戦。3分間の戦いを合計9回行う中で、先に45点とるか、試合終了のときにより得点が多いチームが勝ちです。
電光石火の決着、機械で確認
目にもとまらぬ速さで決着がつくため、攻撃が成功したか機械で確かめます。剣先にセンサーがつき、有効面に当たるとランプが点灯します。
ヨーロッパで軍事訓練として発展したスポーツで、近代五輪が始まった1896年のギリシャ・アテネ大会からずっと正式競技です。女子の種目が加わったのは1924年のパリ大会から。車いすフェンシングは60年の第1回パラリンピックのイタリア・ローマ大会から採用されています。

2021年の東京大会では男子のエペ団体で日本チームが優勝。この競技で日本の選手が初めて、金メダルを獲得しました。

審判はフランス語で合図
審判はフランス語を使います。「アンガルド」の合図で選手がマスクを着けて構え、「アレ」のかけ声で戦い始めます。五輪で会場になるグラン・パレは、1900年のパリ万国博覧会のメイン会場でした。そこで伝統的な決闘がくり広げられます。
【競技日程】
フェンシング 7月27日~8月4日
(朝日小学生新聞2024年4月24日付の記事を再編集しています)

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