体ひとつで軽快にかべ登り

前回から五輪競技、今回は2種目

スポーツクライミングは、「ホールド」という突起を支えに、道具を使わず体だけでかべを登る競技です。

前回の2021年の東京大会で、五輪の競技としてデビュー。「スピード」「ボルダー」「リード」の3種目の順位をかけ算して、ポイントが一番少ない人が優勝というルールでした。パリ大会ではスピード種目が独立し、ボルダーとリードの複合種目との2種目に変わります。

速さを競う「スピード」

スピードでは、高さ15メートルのかべを速く登りきった選手が勝ちです。予選ラウンドは、2人の選手が対戦して勝ちぬき方式で競います。勝者は決勝ラウンドに進み、さらに勝ちぬいた選手が初代金メダリストとなります。

パリ五輪に向けて練習する楢崎智亜選手=2023年12月、茨城県龍ケ崎市 ©朝日新聞社

「ボルダー」と「リード」の複合

複合種目は、ボルダーとリードの両方で競い合い、それぞれの得点を合わせて最終順位が決まります。

ボルダーでは、選手はロープを使わずに4.5メートルの高さのかべにいどみ、「ゾーン」というマークがついたホールドをつかむごとにポイントがあたえられます。また、登りきるまでに挑戦した回数などに応じて、減点されるしくみです。

リードは、高さ15メートルをこえるかべを6分間の制限時間内に、どこまで高く登れるかが勝負。ホールドをつかむたびにポイントがあたえられます。

山を登る方法の一つで、手足のみを使って自然の岩場などを登る「フリークライミング」を、スポーツ競技として発展させました。

競技としての歴史は新しく、1989年に開催されたワールドカップが、最初に行われた正式な世界規模の大会です。その後はヨーロッパを中心に急速に広がり、91年には世界選手権が開催されました。

日本勢もメダル争い

パリ大会で2大会連続出場となるのがスポーツクライミング界のエース、楢崎智亜選手。東京大会では惜しくも4位でした。悲願の金メダル獲得となるか、期待が高まります。去年のアジア予選で優勝した高校生の安楽宙斗選手にも注目です。森秋彩選手(20歳)は、去年の世界選手権の複合で3位。日本勢は男女とも活躍から目がはなせません。

イラスト・佐竹政紀

【競技日程】

スポーツクライミング 8月5日~8月10日

(朝日小学生新聞2024年6月12日付の記事を再編集しています