気象を読み、艇をあやつる

波や潮の流れ、風向き…

五輪で選手が船に乗る競技には手こぎのボート、カヌー、セーリングがあります。その中でただ一つ、海で戦うのがセーリング。風の力をうまく生かして進みます。

すべての艇がいっせいにスタートするレースです。海面に置かれた「マーク」と呼ばれる目印を決められた回数、決められた順番で回り、フィニッシュラインでの着順を競います。波や潮の流れ、風向きなどの気象条件を的確に読み、有利な位置どりをする力が求められます。選手は時に、海面すれすれまで体をたおすようにして帆を動かします。

レースでは全チームがいっせいにスタート=2021年7月、神奈川県藤沢市 ©朝日新聞社

たこに引かれる種目も

使う艇の種類によって種目が分かれます。全長4.7メートルで2人乗りの「470級」や、ボードの底に水中翼がついたiQフォイルに乗る「ウインドサーフィン」などのほか、空にうかべたたこに引っ張られながら進む「カイト」がパリ大会で新たに加わります。男女それぞれ4種目と、男女混合2種目の計10種目が行われます。

帆のデザインはちがいますが、それ以外は同じ形の艇を使うのがルールです。ゴールする順位が高いほど低い点数がつきます。レースを10回または12回行い、合計点数の低い上位10艇が決勝レースへ進出。そのレースでは得点が2倍になり、最も成績の悪かったレースをのぞく総合得点で最終順位が決まります。

日本勢20年ぶりのメダル期待

競技として初めて採用されたのは1900年のパリ大会。96年のアメリカ・アトランタ大会までは「ヨット」と呼ばれましたが、2000年のオーストラリア・シドニー大会からセーリングに変わりました。伝統的にヨーロッパの国々の選手が活躍。パリ大会の舞台は、首都のパリから南に600キロ以上はなれ、地中海に面した都市マルセイユです。

1936年のドイツ・ベルリン大会で初出場した日本代表は、これまで銀と銅のメダルを一つずつ獲得しています。中国の杭州で去年行われたアジア大会の男女混合470級では、岡田奎樹選手と吉岡美帆選手のペアが優勝。日本勢として20年ぶりのメダルが期待されます。

イラスト・佐竹政紀

【競技日程】

セーリング 7月28日~8月8日 

(朝日小学生新聞2024年7月3日付の記事を再編集しています