
フランスの首都パリで開かれるオリンピック(五輪)とパラリンピックの注目競技を紹介します。今回は人と馬が力と気持ちを合わせ、男女の区別なく競い合う特徴のある馬術です。
「人馬一体」の走りや演技
馬場、障害、総合
馬は、人以外で五輪競技に参加する唯一の動物です。五輪で行われるのは馬場馬術、障害馬術、総合馬術の3種目です。
馬場馬術は馬が音楽に合わせてステップや図形をかくような動きなど演技をして、正確さや美しさを点数で表します。障害馬術はコースに置かれたさまざまな大きさや色の障害物を、決められた順にとびこえ、ゴールしたタイムを競います。
この二つの種目に、数キロメートルの野外コースを走るクロスカントリーを合わせるのが総合馬術。3日かけて行い、体力が求められます。
パラリンピックでは馬場馬術のみが行われます。障がいに応じて、手綱やくらに工夫をほどこします。

男女で分けずに競い合う
選手は必ず、白い乗馬ズボンとブーツを身につけます。さらに障害馬術はジャケット、馬場馬術は燕尾服、総合馬術のクロスカントリーはバックガードと、種目ごとに着る服装が決まっています。
どの種目も、人と馬とが力と気持ちを合わせる「人馬一体」をめざします。選手が馬に合図を出し、馬がその指示通りの動きをできるかがポイントです。とても小さな合図なので、外から見てもなかなかわかりません。
男女で種目を分けないのも、他の競技とちがう特徴です。
ベルサイユ宮殿が舞台
馬術は1900年のパリ大会で初めて採用されました。52年のフィンランド・ヘルシンキ大会で女性も出場するまで、参加できるのは男性の軍人に限られていました。パラでは96年のアメリカ・アトランタ大会から正式競技となりました。
日本代表は28年のオランダ・アムステルダム大会に初参加。続く32年アメリカ・ロサンゼルス大会で、陸軍の西竹一が障害種目で金メダリストになりました。これが今のところ、日本の選手が五輪のこの競技でとった、ただ一つのメダルです。
今回のパリ大会の舞台は国王ルイ14世が宮廷として建てて、今は観光地として多くの人が訪れる世界文化遺産のベルサイユ宮殿です。

【競技日程】
馬術 7月27日~8月6日
(朝日小学生新聞2024年7月10日付の記事を再編集しています)

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